三菱ロジスネクスト、2020年度売上は12.8%減の3,915億円

 三菱ロジスネクストが5月10日に発表した2021年3月期(2020年度)連結業績によると、売上高は、3,914億9千6百万円(前年同期比12.8%減)となった。経済環境の良化により受注状況は第3四半期から第4四半期にかけて更に好転したものの、前期に比して充分な売上への寄与までには至らなかった。売上の減少を受け固定費の削減に取り組んでいるものの、営業利益は15億9千4百万円(同81.1%減)、経常利益は20億1千4百万円 (同71.4%減)、親会社株主に帰属する当期純損失は26億8千3百万円(前年同期52億4千3百万円の損失)となった。

 なお、のれん等償却の影響を除くと、営業利益は109億9千万円(前年同期比40.0%減)、営業利益率は2.8% (同1.3ポイント減)となっている。

 2020年度における世界経済は、コロナ禍により半ば停止状態であった経済活動が徐々に復調傾向となる中で の推移となった。グローバルでは、いち早く経済活動を平時に戻した中国を始め、欧米でのロックダウン解除や  アジア圏での規制緩和も行われ、特に9月頃からは欧米を中心にフォークリフト需要の伸張には力強いものがあり、地域・月によっては前年同期の水準までの回復が見られるようになった。一方、日本においては、欧米に比して  遅れはあったものの、第4四半期会計期間においては、フォークリフト需要についても前年同期の水準近くまで回復してきている。

 このような状況の中、大きな不安定要素であった米国大統領選挙や英国Brexitが一定の決着を見たこともあり一層の経済活動の復調が期待されましたが、新型コロナウイルスの変異種の発生や感染再拡大が顕著となったことで各国ともその対応に追われることとなり、経済復興策の一時停止や再度のロックダウンも実施された。その後、欧米 諸国ではワクチン投与が進み、日本でもようやく接種が開始されたものの、依然として予断を許さない状況が続くものと思われる。

   三菱ロジスネクスト2021年3月期データ

■セグメント別業績

<国内事業>

 国内事業は、6月以降の日本市場の堅調さを背景に第2四半期以降のセグメント利益は黒字となっており、それまで厳しい状況であった輸出向け受注及び売上の回復基調も寄与して、売上高は1,684億8千2百万円 (前年同期比5.9%減)となった。全グループ挙げて固定費の削減に取り組んでいるものの、売上高減少による利益減を補うには至らず、セグメント利益は6億9千万円(同81.5%減)となった。

 なお、のれん等償却の影響を除くと、セグメント利益は56億6千1百万円(同33.0%減)となっている。

<海外事業>

 海外事業は、国内事業と同様、第2四半期以降、コロナ禍の影響が落ち着いた中国市場やロックダウンが解除となった欧米アジアでの伸長によりセグメント利益は黒字となっているが、前期並までの回復には未だ 時間を要する状況であり、2019年7月に買収した米国販売会社Equipment Depot, Inc.の通年での連結業績寄与があったものの、売上高は2,230億1千3百万円(前年同期比17.4%減)となった。売上高減少による利益減少を 固定費の削減で補いきれない状況も国内事業と同様であり、セグメント利益は9億3百万円(同80.8%減)となった。 なお、のれん等償却の影響を除くと、セグメント利益は53億2千8百万円(同46.1%減)となっている。

■今後の見通し

 新型コロナウイルス感染症の収束は依然見通せていないものの、ワクチン接種が各国で進み、かつ一定の経済社会活動を維持する取り組みが行われる中、経済は確実な回復を示している。フォークリフトをはじめとする物流機器市場も、2020年前半を底に回復傾向が続いており、これは2021年において も継続するものとみている。

 その一方、物流業界は新型コロナウイルスの感染拡大を機に変化を迫られており、同社はかかる大きな変革の時代の中で、新・中期経営計画「Logisnext SolutionS 2023」の初年度を迎えることとなった。

 2021年度(2022年3月期)の連結業績見通しは、売上高4,300億円、営業利益50億円、経常利益40億円、親会社株主に帰属する当期純利益10億円を見込んでいる。

  なお、のれん等償却前営業利益は140億円、のれん等償却前営業利益率は3.3%を見込んでいる。

 三菱ロジスネクストの2021年3月期決算短信