㈱タダノが1月29日に発表した2021年3月期第3四半期(2020年4~12月)連結業績によると、日本向け売上高は、高所作業車が横ばい、建設用クレーン・車両搭載型クレーンが減少し、618 億5千万円(前年同期比87.1%)、海外向け売上高は、2019年7月31日に買収を完了したDemag ブランドのクレーン事業連結により、欧州は増加したものの、それ以外の地域は減少し、706億9千2百万円(前年同期比90.8%)となった。その結果、総売上高は1,325 億4千3百万円(前年同期比89.0%)、海外売上高比率は53.3%となった。
売上減少に加え、Demag製品を中心とした構成の変化により、売上原価率は悪化し、売上総利益は減少した。販売費及び一般管理費は、Demag事業連結による増加があったものの、経費削減に努めた結果横ばいとなり、営業利益は18 億3千4百万円の損失(前年同期94 億1千9百万円の利益)、経常利益は23 億3千5百万円の損失(前年同期87 億6千8百万円の利益)となった。親会社株主に帰属する四半期純利益は、排ガス規制関連損失引当金繰入及び投資有価証券評価損を計上した結果、76 億6千8百万円の損失(前年同期57 億8千3百万円の利益)となった。
2020年4~12月期における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により、設備投資や輸出は低迷し、景気は極めて厳しい状況が継続した。海外においても、新型コロナウイルスの感染の再拡大や点在する地政学的リスクもあり、景気は引き続き極めて厳しい状況となっている。タダノの関連業界は、日本では、2020 年4月の緊急事態宣言発令に伴う建設工事中断等により需要は減少、その後稼働率は持ち直しつつあるものの、需要回復には未だ至っていない。海外では、各国政府のロックダウン等の影響を受け、大幅減少の北米を始めとしてすべての地域で需要が減少した。
■米国当局から民事制裁金、ドイツでは事業再生手続き
2018 年1月19 日に公表した米国排ガス規制の緩和措置に関する自己申告について、2021年1月、米国当局(環境保護庁・司法省)からタダノグループによる違反とそれに伴う民事制裁金(Civil Penalty)4,050 万US ドルおよびその他の合意条件について提案を受けた。今後も当局と協議を続け、最終的に確定した段階において、改めて発表する。
また、ドイツ子会社Tadano Demag GmbH とTadano Faun GmbH は、現地法に基づく事業再生手続きを進めていたが、2020年12月23日に現地裁判所へ再生計画を提出した。現地裁判所による審査を経て、2021年1月から防護的保全手続き(Protective Shield Proceeding) が開始されている。2月中旬以降に債権者の同意、その後の裁判所の承認を得て、3月末には事業再生手続きが終了となる見込み。事業再生手続きは順調に進んでおり、両社の生産・販売・サービス活動にも影響は生じていない。
本件がタダノの業績に与える影響については、今後、手続きの進展を注視し、開示が必要な事由が発生したら、適時適切に対応する。この手続きによって 欧州事業の再建がよりスピーディに進み、タダノグループの長期成長につながるものと考えている。
■セグメント別の状況
(タダノ及び連結対象子会社の所在地別の売上高・営業利益で、仕向地別売上高とは異なる)
1)日本:日本向け売上は、高所作業車が横ばい、建設用クレーン・車両搭載型クレーンが減少、海外向け売上も減少し、その結果、売上高は860 億2千5百万円(前年同期比75.8%)、営業利益は63億6百万円(同52.3%)となった。
2)欧州:建設用クレーン売上は、建設用クレーンの需要が減少する中、Demag 事業連結により、売上高は497 億4百万円(前年同期比121.9%)、営業利益は77 億8千2百万円の損失(前年同期35 億2千6百万円の営業損失)となった。
3)米州:建設用クレーンの需要が減少する中、売上高は295 億3千8百万円(前年同期比81.5%)、営業利益は2億6千5百万円(同12.7%)となった。
4)その他:建設用クレーンの需要が減少する中、売上高は104 億1千7百万円(前年同期比91.2%)、営業利益は2億6千万円(同132.0%)となった。
■主要品目別の状況
1)建設用クレーン:日本向け売上は、需要が減少する中、241 億6千1百万円(前年同期比79.8%)となった。海外向け売上は、Demag 事業が連結に加わったものの、すべての地域で需要が減少し、537 億6千4百万円(同83.5%)となった。
この結果、建設用クレーンの売上高は779 億2千6百万円(同82.3%)となった。
2)車両搭載型クレーン:日本向け売上は、需要の減少により、128 億5千万円(前年同期比84.9%)となった。海外向け売上は、12 億3千4百万円(同87.5%)となった。
この結果、車両搭載型クレーンの売上高は140 億8千5百万円(前年同期比85.1%)となった。
3)高所作業車:高所作業車の売上高は、需要が減少する中、高付加価値商品の拡販に注力し、121 億9千8百万円(前年同期比100.7%)となった。
4)その他:部品、修理、中古車等のその他の売上高は、Demag 事業連結により、283 億3千2百万円(前年同期比110.8%)となった。
■2021年3月期連結業績予想
上記、排ガス規制関連損失引当金繰入の特別損失計上にともない、2020年10月30日発表の2021年3月期通期連結業績予想について、下記のとおり修正した。
売上高1,820億円(前回予想:同)、営業利益△47億円(同)、経常利益△62億円(同)、親会社株主に帰属する当期純利益△109億円(同79億円)。
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