日精エー・エス・ビー機械が11月11日に発表した2020年9月期(年間)連結業績によると、受注高は34,248百万円(前期比131.4%)と全製品で増加し、過去最高を記録した。同様に、期末の受注残高は15,471百万円(前期末比162.7%)を確保し、過去最高水準となった。売上高については、インド工場の一時的な生産停止があったものの、早期に立ち上げを終え復旧に成功した結果、第4四半期においては過去最高水準の売上を記録し、最終的には27,254百万円(前期比104.3%)と3期振りに増収転換した。
利益面は、増収効果に加え、前期に計上した工場集約費用の減少や、新型コロナウイルス感染拡大の影響による各種販売費用の減少等により、売上総利益は12,340百万円(同106.0%)、営業利益は4,850百万円(同112.7%)、経常利益は4,669百万円(同111.4%)とそれぞれ増益となった。また、親会社株主に帰属する当期純利益は、インド税制改正の影響による繰延税金負債の減少もあり、4,239百万円(同134.4%)と大幅増益となった。
製品別の売上高状況については、ゼロ・クーリングシステム搭載機を始めとした製品競争力の強化により、ストレッチブロー成形機が15,928百万円(前期比114.8%)、付属機器が1,802百万円(同104.7%)、部品その他が3,056百万円(同101.6%)とそれぞれ増収となった。一方、金型については、インド工場での生産一時停止の影響を受け6,467百万円(同86.0%)と減収となった。
当期(2019年10~20年9月)の世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、世界各地で経済活動が縮小した結果、景気が急速に悪化した。我が国経済も同様に、緊急事態宣言の発令を受け、消費や生産活動が停滞したため、雇用環境や企業収益が急激に悪化した。足元では、国内外で経済活動が再開され、輸出や生産活動に回復の兆しが見られるものの、新型コロナウイルス感染再拡大の懸念や米中貿易摩擦の再燃など、景況感は依然として先行き不透明な状況にある。
日精エー・エス・ビー機械グループの属するストレッチブロー成形機業界においては、世界的なサプライチェーンの混乱や、大規模展示会の開催中止など、事業活動への一時的なマイナス影響はあるものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、医薬品や衛生品などのウイルス対策用品や、食料・飲料及び日用品などの生活必需品といった、エッセンシャル・ビジネスとしての需要は底堅いものがある。
こうした環境下、日精エー・エス・ビー機械グループは「人と社会に豊かさを提供する」「高い技術、サービスで恒久的な存続を追求する」との経営理念に基づき、中長期的な成長発展方針を継続し、事業規模の拡大を見据えた各種戦略的施策の展開に注力した。
■セグメント業績
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較については、前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較している。
イ.米州:消毒液や生活必需品等の容器需要の高まりを受け、北米及び中米市場での引き合いが回復したため、地域全体の売上高は8,115百万円(前期比122.7%)と増収となった。セグメント利益も、増収効果に加え、前期に売上債権に対して計上した貸倒引当金が当期において戻入となったことにより、1,257百万円(同164.6%)と増益となった。
ロ.欧州:欧州各国での経済活動再開後は引き合いが順調に推移したため、地域全体の売上高は5,770百万円(前期比105.7%)と増収となった。一方、セグメント利益は展示会費用の増加等により760百万円(同87.4%)と減益となった。
ハ.南・西アジア:主要国でのロックダウン等の影響が長引き、各国市場が低調に推移したため、地域全体の売上高は7,562百万円(前期比80.3%)と減収となった。セグメント利益も、売上規模の減少や、インド工場の生産停止等の影響により、588百万円(同40.7%)と減益となった。
ニ.東アジア:主要市場の日本と中国において大型機の引き合いが活況であったため、地域全体の売上高は5,806百万円(前期比125.1%)と増収となった。セグメント利益も前年度に計上した工場集約費用の減少や、グループ会社向けの採算性の向上等の影響により、4,007百万円(同112.3%)と増益となった。
■今後の見通し
次期(2020年10月1日~2021年9月30日)においては、新型コロナウイルスの感染拡大により急速に悪化した世界経済は、各国の経済対策やワクチン開発の期待を背景に緩やかに回復することが予測されるものの、感染再拡大の懸念や米中貿易摩擦の再燃など、景気の下押しリスクは残り、引き続き先行き不透明な状況が予想される。
一方、ストレッチブロー成形機業界においては、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、安全で衛生的なプラスチック容器を求める声がこれまで以上に高まっており、生活必需品に根差した日精エー・エス・ビー機械需要は底堅く推移すると思われる。これらを背景に、日精エー・エス・ビー機械では中長期的な事業規模の拡大と、更なる企業競争力の向上を図るため、重要施策を実施していく。
具体的には、主力技術であるゼロ・クーリングシステムの更なる進化により、既存製品の競争力強化に取り組んでいく。また、ワンステップ成形機の特徴である高品質・高付加価値の強みを活かしながら、量産性も追求する新型機の開発を強化し、大量生産市場への参入を企図していく。更に、二層成形法や環境配慮型のボトル成形など、容器開発のリーディングカンパニーとして、新しい容器市場の開拓に取り組んでいく。
また、生産面においては、従来から進めているインド工場への金型生産設備の追加投資を完了し、生産量の拡大及び納期短縮を図るとともに、国内及びインド工場の生産性を向上させることで原価低減を図っていく。
以上の経営施策を的確に実施することにより、次期の経営成績については、次のとおり見込んでいる。
売上高36,000百万円(前期比32.1%増)、営業利益65,000百万円(同34.0%増)、経常利益6,600百万円(同41.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益4,700百万円(同10.9%増)。
コメントを投稿するにはログインしてください。