日立建機、20年4~9月期売上収益は24.9%減の3,609億円、通期予想は据え置き

 日立建機が10月27日に発表した2021年3月期第2四半期累計(2020年4~9月)の売上収益は、新型コロナウイルスの影響に伴う市況悪化による新車販売や部品サービスの減少、資源価格の低迷等による設備投資抑制に伴うマイニング新車販売や部品サービスの減少、並びに前年度と比較し円高基調で推移した為替の影響等により、注力するバリューチェーン事業の中で、レンタル・中古車の売上は前年同期比で増加したものの、全体としては3,609億2百万円(前年同期比△24.9%)と大幅な落ち込みとなった。

 連結の利益項目については、調整後営業利益は、売上収益の減少や為替の円高影響等により、109億3千9百万円(同△75.7%)、親会社株主に帰属する四半期利益は、海外拠点での自国通貨高による為替差損、そのほか法人所得税費用、非支配持分損益が影響し、2億1千1百万円(同△99.2%)となった。(数値表記は原文尊重)

 日立建機グループは、中期経営戦略の方向性として、これまでも注力してきたバリューチェーン事業を更に強化するため、デジタル技術を活用して、顧客とのあらゆる接点で更に深化したソリューションを提供すると共に、変化に強い企業体質への転換に取り組んでいる。

 日立建機2021年3月期第2四半期データ

■セグメント業績

①建設機械ビジネス

 4~9月期における油圧ショベル需要は、中国を除き主要地域で前年同期を大幅に下回った。また、マイニング機械の需要も鉱山会社による設備投資の抑制が顕著となり、特に中小規模鉱山会社からの需要が大きく減少した。

 この結果、売上収益は、レンタル・中古車は増加したものの、新型コロナウイルスの影響による市場の低迷に伴い、新車販売や部品サービスの減少、並びに為替の円高影響等を受け、3,202億1千6百万円(同△26.3%)となった。調整後営業利益は、売上収益の減少や為替の円高影響等により、71億5千9百万円(同△82.5%)となった。

②ソリューションビジネス

 同事業は、主としてマイニング設備及び機械のアフターセールスにおける部品サービス事業を行うBradken Pty Limited及びその子会社と、サービスソリューションを提供するH-E PartsInternational LLC及びその子会社で構成されている。

 4~9月期の売上収益は、前年同期比で減少はしたものの、鉱山会社で稼働するプラント設備向けの消耗部品販売が堅調で、420億7千1百万円(同△11.5%)となった。調整後営業利益は、売上収益の減少や円高影響を受けたものの、事業構造改革の効果もあり、37億8千万円(同△8.2%)となった。

 なお、上記、①②の売上収益については、セグメント間調整前の数値。

■連結業績予想などの将来予測情報に関する説明

 2021年3月期の油圧ショベル需要見通しは、新型コロナウイルスの第2波の懸念はあるものの4~9月期おける需要の停滞が当初想定と比較して限定的であったため、2020年5月28日に公表した見通しから上方修正し、世界全体で約19万5千台(前年比△10%)になると見込んでいる。

 一方で、マイニング機械においては、資源価格の下落や、世界的な景気不透明感から顧客の新規投資は抑制傾向が更に強まっており、新車需要は減少すると見込んでいる。鉱山の操業は新型コロナウイルスの影響下でも、社会インフラを支える事業(Essential Business)として稼働を続けた国や地域もあったが、一部地域では稼働停止となった現場があり、これに伴い当社の部品サービス事業やソリューションビジネスも、前年比では減少すると見込んでいる。

 以上の市況予測を踏まえ、2021年3月期連結業績予想(2020年4月~2021年3月)は、2020年5月28日に以下に公表した連結業績予想を据え置いた。

 売上高7,700億円(前期比17.3%減)、営業利益360億円(同50.6%減)、親会社株主に帰属する当期利益200億円(同51.4%減)。

 業績見通しの前提となる第3四半期以降の為替レートについても、米ドル105円、ユーロ120円、人民元15.0円、豪ドル72円を据え置いている。

 日立建機の2021年3月期第2四半期決算短信

 2021年3月期第2四半期決算説明および中期経営戦略の方向性について・決算説明資料・地域別市場見通し