芝浦機械(旧・東芝機械)が5月27日に発表した2020年3月期(2019年度)連結業績によると、受注高は、新型コロナウィルス感染拡大の影響などにより設備投資へ慎重な動きが見られたこ とから、942億2千4百万円(前年度比29.9%減)、売上高は、1,167億6千1百万円(同 0.5%減)となった。営業利益は、35億2千9百万円(同8.0%減)、経常 利益は、38億2千5百万円(同31.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、関係会社株式売却 益の計上により、73億3千8百万円(同79.9%増)となった。(数値表記は原文)
■経営概況
2019年度における世界経済は、国際的な通商問題長期化の影響による中国およびその他の国の経済の減速継続、英国のEU離脱問題など、先行き不透明な状況が続いている。我が国経済も世界経済減速の影響を受けて、輸出や生産に悪化が見られた。さらに第4四半期後半からは新型コロナウィルスの感染拡大の影響により、経済活動が大きく制限され、世界経済は急速に収縮した。芝浦機械グループが属する機械業界についても、国内外の設備投資は、自動車関係を中心に慎重な姿勢が継続 し、厳しい事業環境となった。
このような経済環境のもとで、芝浦機械グループは2019年4月1日からスタートさせた中期経営計画「Revolution E10 Plan」を見直し、2020年2月4日に「経営改革プラン」を発表。「経営改革プラン」に基づき、 芝浦機械グループは高収益企業への変革に向けて取り組んでいる。
■セグメント別の概況
<成形機事業>(射出成形機、ダイカストマシン、押出成形機など)
射出成形機は、国内外で自動車向けを中心とした設備投資が引き続き軟調に推移し、販売と受注が 減少した。
ダイカストマシンの販売は、インド、東南アジアが堅調に推移したものの、中国の自動車向けが減少した。受注は、国内外の自動車向けを中心に軟調に推移した。
押出成形機の販売は、国内の食品容器および光学用シート・フィルム製造装置、中国の二次電池 向けシート・フィルム製造装置を中心に堅調に推移した。受注は、中国の二次電池向けシート・フィルム 製造装置が増加したものの、国内外の光学用シート・フィルム製造装置が減少した。
この結果、成形機事業全体の受注高は、631億4百万円(前年度比31.3%減)、売上高は、772億6百万円 (同2.5%減)、営業利益は、37億4千7百万円(同6.8%増)となった。
<工作機械事業>(大型機、門形機、横中ぐり盤、立旋盤、精密加工機など)
工作機械の販売は、国内、インド、東南アジアの産業機械向けを中心に増加した。受注は、中国向けが増加したものの、国内外ともに設備投資の停滞を受けて、軟調に推移した。
精密加工機の販売は、中国、台湾のレンズ用およびスマートフォン用光学金型向けが増加したものの、国内、韓国向けを中心に軟調に推移した。受注は、国内のレンズ用光学金型向けが減少したものの、台湾のスマートフォン用光学金型向けが増加した。
この結果、工作機械事業全体の受注高は、228億3千2百万円(前年度比27.1%減)、売上高は、296億9 千7百万円(同8.5%増)、営業利益は、3億円(前年度は営業損失1億2千9百万円)となった。
<その他の事業>(産業用ロボット、電子制御装置など)
産業用ロボットの販売は、中国向けが増加したものの、国内は設備投資の先送りなどを受けて軟調に推移した。受注は、国内外ともに軟調に推移した。
この結果、その他事業全体の受注高は、82億8千7百万円(前年度比26.8%減)、売上高は、127億8千5百万円(同8.3%減)、海外案件の売掛金の回収状況などを踏まえ貸倒引当金を計上したことによ り、営業損失は、5億6千8百万円(前年度は営業利益4億3千6百万円)となった。
■次期見通し
今後の経済環境は、コロナ禍の影響により国内外の経済環境が悪化し、先行き不透明な状況が続くものと予想される。機械業界についても、新型コロナウィルスの感染収束に伴う設備需要の改善が予想されるが、急速 な回復は期待できない状況であり、今後も引き続き厳しい事業環境となる見通し。
このような状況のもと、次期後半にかけて各国政府主導の経済政策により設備需要の持ち直しが予想される国内外のインフラ、エネルギー、新素材などの分野に注力し、受注拡大に努めていく。さらに、新型コロナウィルス感染収束後の社会は、働き方の変革が進み、生産活動においても自動化・省人化ニーズが急速に拡大すること が予想されることから、ロボット・IT分野にも注力していく。
また、芝浦機械グループは「経営改革プラン」に基づいた諸施策を実行し、国内外工場における生産のさらなる効率化、グループ全体での総原価低減諸施策の実施、希望退職を含む固定費の削減、成長分野に対応した投資の推進などにより、高収益企業への変革に努めていく。
2021年3月期の見通しについては、売上高920億円(前年度比21.2%減)、営業損失14億円、経常損失24億円、親会社株主に帰属する当期純損失26億円を予想している。
なお、通期見通しにあたっての為替レートは、1米ドル=105円を前提としている。
説明会資料(2019年度は予定)
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