日工、2019年度売上は11%増の352億円、20年度予想は365億円

 ㈱日工が5月12日に発表した2020年3月期(2019年度)連結業績によると、売上高は、アスファルトプラント関連事業、コンクリートプラント関連事業、その他事業において前期を上回ったが、環境及び搬送関連事業が前期を下回った結果、前期比10.6%増の351億51百万円となった。損益面は、売上増と売上原価率の改善により、営業利益は前期比43.9%増の20億53百万円、経常利益は前期比35.9%増の21億42百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は、前 期比18.1%増の15億88百万円となった。(数値表記は原文尊重)

 日工12019年度データ

■経営成績の概況

 2019年度における国内外の経済は、新型コロナウィルス感染問題が発生するまでは、総じて堅調に推移していたが、新型コロナウィルス感染拡大後は、国内外の経済情勢が一変した。新型コロナウィルス感染拡大後は、国内外の経済活動は大幅にスローダウンし、今後、経済成長率が大きくマイナスで推移することが見込まれている。また、国内外の経済活動がいつ元の状態に戻るのかも見通せない状況となっている。

 このような状況の中ではあったが、日工グループに関係の深い建設関連業界は、これまでのところは、あまり直接的な影響を受けることなく、堅調に推移した。今後についても、建設関連業界全般について影響度合い は小さいものと予想しているが、日工の顧客の今後の投資動向については従来以上に注視していく。

 日工では、2019年8月に2019年度~2021年度の新中期経営計画を策定し、公表した。新中期経営計画では、10年後に日工グループがありたい姿(ビジョン)を描いた上で、最初の3年間に必要な数値目標を決めた。具体的には10年後に売上高を現状の約1.5倍である500億円を目指すが、新中期経営計画の最終年度の目標は売上 高380億円、営業利益30億円とした。これにあたって5つの長期基本方針を定めた。

 具体的には『国内収益基盤の強化による国内売上高営業利益率10%の確保』、『ASEANに拠点を構築し海外売上を現状の45億円から倍増』、『新規事業を推進し、産業機械・建設機械分野で新たな製品の柱を構築し新規事業で売上高100億円を創出』、『事務集中化、IoT・AIの活用による働き方改革を通じ労働生産性の大幅な向上』『ROEをKPIとし、ROE8%以上の達成、同時に株主還元を強化』である。この5つの基本方針を軸に、コーポレートガバナンスの強化、透明性の 高い活力ある企業運営を目指していく。

 2019年度の国内は、日工の主力事業であるアスファルトプラント関連事業の売上高が対前期比で増加した。これは、全国的に道路関連公共事業の発注が順調だったことと、前々年度は、大手道路会社が独禁法違反で摘発され、その後一定期間営業停止となったことの反動で前年度後半に受注残高が積みあがっていたため。また、コンクリートプラント関連事業の売上高も、期初の受注残高が対前期比で多かったため、対前期比 で増加した。

 海外では、中国でのアスファルトプラント関連事業の売上高は、政府の積極的なインフラ投資政策と環境規制の高まりを受け、大きく売上高を伸ばした前年度の実績を更に上回る結果となった。中国以外の海外市場での売 上は、台湾では大きく売上を伸ばしたが、戦略市場と位置付けているASEAN市場では売上が伸び悩んだ。

■部門別の概況

<アスファルトプラント関連事業>

 国内売上高は、製品の売上高は前期比増加した一方でメンテナンス事業の売上高が減少し、前期比4.2%増となった。一方、海外の売上高は中国、及び輸出ともに前期比増加し、前期比 14.2%増となった。この結果、当事業の売上高は、前期比6.5%増の175億18百万円となった。受注高、受注残高は前期比減少した。

<コンクリートプラント関連事業>

 売上高は、製品、メンテナンス事業の売上高ともに前期比増加し、この結果、 同事業の売上高は、前期比16.0%増の91億58百万円となった。受注高、受注残高は前期比増加した。

<環境及び搬送関連事業>

 環境製品の売上高は、前期比31.9%減。搬送製品の売上高は、ほぼ前期並みとなった。この結果、売上高は前期比5.0%減の26億34百万円となった。受注高、受注残高は前期比減少した。

<仮設及び土農工具等その他事業>

 仮設機材製品の売上高は、前期比11.5%増。土農工具製品の売上高は、前期比4.3%減。破砕機製品の売上高は前期比4.7%増。その他事業のその他はモバイル事業及び防水板事業が大きく伸長したことで前期比48.9%増となった。この結果、売上高は、前期比24.8%増の58億40百万円 となった。受注高、受注残高は増加した。

■今後の見通し

 日工グループの事業領域である建設関連分野は、コロナウィルス感染拡大の影響度合いは他産業対比相対的には小さいと思われる。またコロナウィルス感染終息後は、景気対策として政府建設投資が伸びることが予想される

 一方で、海外は、主力市場である中国では、引き続きインフラ投資は積極的に行われ、また環境規制の一層の 強化、リサイクル合材の本格的使用開始等、日工にとって、これまで国内で培ってきた技術力が活かされる市場環境が当面は続くものと見ている。今後の成長市場と目論んでいるASEANについては、タイに設立したNikko Asia (Thailand) Co., Ltd.を通じて積極的に市場開拓を進めて行きたいと考えている。

 通期の連結業績見通しについては、連結売上高365億円、連結営業利益22億円、連結経常利益27億円、親会 社株主に帰属する当期純利益18億50百万円を達成したいと考えている。

 日工の2020年3月期決算短信

 補足資料

 決算説明資料