㈱北川鉄工所が5月11日に発表した2020年3月期(2019年度)連結業績によると、売上高は、58,288百万円(前期比3.4%減)、営業利益は、2,907百万円(同46.8%減)、経常利益は、3,319百万円(同44.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,645百万円(同57.3%減)となった。(数値表記は、原文表示を尊重しています)
■経営成績の概況
2019年度におけるわが国の経済は、消費税増税前の駆け込み需要や雇用環境の改善を背景に第3四半期まで回復基調が続いてきた。一方、国外では米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題の長期化に加え、2019年末から新型コロナウイルス感染症の拡大により世界経済が不安定となり、国内外ともに景気の先行きが不透明な状況で推移した。
このような状況のもと、北川鉄工所グループでは、2018年4月より社内カンパニー制へ移行して、金属素形材事業、産業機械事業、工作機器事業それぞれの事業セグメントごとの成長を志向し、設備投資、新商品開発、顧客接点の拡大など、事業の独自性を生かした戦略を積極的に展開してきた。しかし、自動車関連業界や工作機械関連業界をはじめとする北川鉄工所グループを取り巻く環境は国内外ともに停滞感や減速感が強く、厳しい経営環境下での事業運営を強いられることとなった。
■セグメント業績
<キタガワマテリアルテクノロジーカンパニー(金属素形材事業)>
自動車関連業界においては、中国市場の失速をはじめ、市場全体として減速感が強まった。農業機械・建設機械関連業界においては、豪雨災害により生産が滞る状況もあったが、国内の消費税増税前の駆け込み需要などにより需要は堅調に推移した。しかし、2019年末より拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により、同事業の主要関連業界においても生産が滞り始めた。
このような状況のもと、同事業は、国内外の生産拠点間での連携強化を図り、北川鉄工所の強みである素材開発から機械加工までの一貫生産体制を活かし自動車トランスミッション部品を中心とした高付加価値部品の新規受注に努めた。海外拠点では、次期モデルチェンジに向けて積極的に受注活動を行った。また国内では福山工場加工ラインにおける自動車トランスミッション部品の安定的な生産及びライン増設を進めてきた。
これらの取り組みに加えて生産性を高めることによって収益性の改善に努めてきたが、市場環境の悪化の影響が大きく、売上が前年比で大幅に減少し、利益面でも厳しい状況で推移した。
その結果、同事業の売上高は、27,531百万円(前期比5.7%減)、セグメント利益(営業利益)は297百万円(同81.3%減)となった。
<キタガワサンテックカンパニー(産業機械事業)>
国内の建設業界は、東京オリンピック関連の工事で先送りになっていた都市再開発事業が再開されたが、慢性的な人手不足と各種コストアップにより工事の進捗にも影響を及ぼした。
このような状況のもと、同事業は、商品開発による顧客の満足度の向上に注力した。プラント事業では、品質や納期対応力の向上を図るため、商品の標準化を進めた。既存設備の更新需要が増加し、メンテナンス工事も旺盛であったことによって、前期比で売上が増加した。
荷役機械関連事業では主力であるクライミングクレーンの安定的な受注に加え、新たに受注した特殊大型クレーンであるダム建設用クレーンの納入によって前期比で売上が増加した。
自走式立体駐車場事業では、ロングスパンタイプの商品開発を行った。消費税増税前の駆け込み需要に加えて、商業施設や企業向け駐車場の案件も受注することができたため、前期並みの売上を維持した。
その結果、同事業の売上高は、21,160百万円(前期比15.6%増)、セグメント利益(営業利益)は2,597百万円(同19.9%増)となった。
<キタガワグローバルハンドカンパニー(工作機器事業)>
工作機械関連業界は、米中貿易摩擦の長期化の影響により、国内外ともに設備投資は減少傾向となった。さらに外需は、新型コロナウイルス感染症の拡大が市場に大きな影響を及ぼしており、中国市場をはじめ欧米の各国で自動車、電気・精密機械、その他一般機械の各分野において設備投資を先送りにする動きが急速に拡大し、受注が大きく減少した。
このような状況のもと、同事業は、主力商品であるパワーチャックの高付加価値商品として開発した次世代標準チャックBRシリーズを市場に投入した。また、積極的な営業活動を展開するために国内外の主要展示会へNC円テーブルMK350や薄型2爪平行グリッパなどの新商品を発表した。さらに、ロボット分野などの新たな市場領域に参入するために、システムインテグレータやロボットメーカーに対してアプローチを行ってきた。
これらの取り組みを進めてきたが、国内外ともに企業の設備投資意欲が低下したことによって需要が伸びず、同事業は売上・利益ともに厳しい状況で推移した。
その結果、同事業の売上高は、8,886百万円(前期比27.2%減)、セグメント利益(営業利益)は915百万円(同63.1%減)となった。
■今後の見通し
2021年3月期連結業績予想については、新型コロナウイルス感染症が世界的に拡大したことにより、国内外の事業に多大な影響を及ぼすことが予想される。その影響について合理的に算定することが困難であることから、現時点では業績予想を未定とする。今後、業績予想の合理的な算定が可能となった時点で速やかに公表する。
決算説明資料(2020年6月2日追加)
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