住友重機械工業は2月25日、今後の電力業界で重要な役割を果たすことが期待されるエネルギー貯蔵技術の取得を目的に液化空気エネルギー貯蔵(Liquid Air Energy Storage、以下LAES)の技術開発を先導する英国のハイビューエンタープライズリミテッド(Highview Enterprise Limited. 以下ハイビュー社)へ46百万米ドル(約50.6億円、110円換算)の出資を行ったと発表した。
LAESは、液化空気の形でエネルギーを貯蔵し、必要なときに電力として取り出す技術。仕組みは、二酸化炭素と水蒸気を取り除いた空気を、マイナス190℃まで冷却して液化し、断熱されたタンクに保存する。その液化空気を再度気化させた際の膨張エネルギーを利用してタービンと発電機を駆動し、電力に戻す。その際の空気の相変化過程で生ずる冷熱と温熱を再利用することで、全体のエネルギー変換効率を上げている。
地球温暖化対策の有力手段である再生可能エネルギーを普及させるためには、その電源の不安定さを解消させることが必須。また、分散電源としての電力系統を安定化させる機能が非常に大切になる。
LAESは、これら課題の解決に大きな役割を果たすことが可能。住友重機械工業は100%子会社であるSumitomo SHI FW(以下SFW)と共に、ハイビュー社との協業を進め、このLAES技術を用いたエネルギー貯蔵システム「クライオバッテリー(CRYOBattery™)」の事業化を推進する。早期に需要の増大する欧州と米国を初め、アジア地域に至るまで、本技術のグローバルな普及に貢献していく。
<ハイビュー社の概要>
会社社名:Highview Enterprise Limited.
設立:2005年
本社所在地:英国 ロンドン
事業内容:液化空気エネルギー貯蔵システムの技術開発
■LAESシステム:LAESシステムは、3つのプロセスから構成されている。
1) 充電:ピーク時以外に発電された電力または余剰電力を、空気液化設備を作動させるために利用し、液体空気を生成する。
2) エネルギー貯蔵:液体空気は低圧で断熱されたタンクに貯蔵される。
3) 放電:発生した高圧ガスがタービンと発電機を稼働し、電力を生成する。