ファナック、2019年4~12月売上は約3,865億円、通期見通しは前期比20%減の5,067億円

 ファナックが1月29日に発表した2020年3月期第 3 四半期連結累計期間(2019年4~12月)における連結業績によると、売上高は 3,864 億 73 百万円(前年同期比 22.1%減)、経常利益が 797 億 4 百万円(同 47.1%減)となった。四半期純利益は、遊休資産に係る減損損失を特別損失に計上したこと等により、565 億 22 百万円(同 56.1%減)となった

 なお、部門別の売上高については、FA 部門が 1,094 億 12 百万円(前年同期比 34.4%減)、ロボット部門が 1,525 億 2 百万円(同 8.8%減)、ロボマ シン部門が 579 億 67 百万円(同 38.1%減)、サービス部門が 665 億 92百万円(前年同期比 2.9%減)だった。。(*決算数値は各社の表記方法による)

 ファナック2018年4-12月データ

 ■連結経営成績に関する説明

 FA 部門については、CNC システムの主要顧客である工作機械業界において、米 中貿易摩擦の影響により中国市場での機械需要が落ち込んだほか、中国市場に大きく依存している台湾でも機械需要が落ち込んだ。韓国や比較的堅調だったインドも自動車を中心とした内需の弱さ等により、低調に推移した。

 欧州 と日本国内についても、設備投資抑制の動きを受け、需要が落ち込んだ。世界的に、航空宇宙、医療、建材等、堅調な分野も見られるが、機械需要への影響が大きい自動車関連への投資が冷え込んでいる状況。レーザについては、 拡販に努めたが、海外メーカとの競争がさらに厳しさを増している。

 この結果、FA 部門全体の売上高は前年同期に比べ減少した。

 ロボット部門については、国内は自動車産業向け、一般産業向けともに売上が増加し、米州においても堅調に推移したものの、中国および欧州においては、自動車産業向け、一般産業向けともに売上は低調に推移した。この結果、 ロボット部門全体の売上高は前年同期に比べ減少した。

 ロボマシン部門については、ロボドリル(小型切削加工機)において、拡販に努めたものの自動車部品市場などが減速したことで、IT 関係の一時的な需要が残っていた前年同期と比べると売上が落ち込んだ。ロボショット(電動射出成 形機)については、自動車部品、医療市場向けに拡販に努めたが、売上は若 干減少した。ロボカット(ワイヤカット放電加工機)についても、中国市場 を中心に売上が減少した。

 このような中、ファナックグループは、中長期的な視点に立った経営を続けるべく、 「one FANUC」、「壊れない」「壊れる前に知らせる」「壊れてもすぐ直せる」およ び「サービス ファースト」をスローガンに掲げ、ファナック商品およびサービスを通じ て、信頼性・保守性が高く効率的・先進的な生産体制を顧客が安心して構築・ 維持できるようにするための取り組みをグループ一丸となって推進。 また IoT への対応として、製造現場のオープンプラットフォームである FIELD system (FANUC Intelligent Edge Link and Drive system) を自社工場へも導入し、 機能拡張およびアプリケーション(パートナー企業製を含む)の充実を図るとともに、AI 技術のファナック商品への適用等を進めている。そして、CNC、ロボット、 ロボマシンの融合のさらなる推進も、重要な取り組みの一つとして掲げている。商品競争力の強化、セールス・サービス活動の強化ならびに工場の自動化・ ロボット化に力を入れる一方、全社で経費削減や労働時間削減・業務の合理化に 取り組み、緊急性・必要性に応じて設備の導入計画を見直すなど、現在の厳しい市場環境のなか、地道に企業体質強化を図っている。

■連結業績予想に関する説明

 国家間等の貿易摩擦の影響を含む各国の通商政策や為替動向、地政学的リスクなどの様々な不透明な要因から、総じて予断を許さない状況が続くものと思われる。現時点での 2019 年度(2020 年 3 月期)の連結業績予想は以下のとおりである。

 2020年3月期連結業績は、売上高5,067億円(前期比:20.3%減)、営業利益806億円(同:50.6%減)、経常利益919億円(同:49.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益659億円(同:57/3%減)となる見通し。

 ファナックの2020年3月期第3四半期決算短信

 第3四半期決算説明資料