川崎重工業は1月23日、Airbus社(フランス)のリージョナルジェット機(RJ機)A220用エンジン「PW1500G」のファンドライブギアシステム(FDGS:画像)を明石工場から初出荷したと発表した。
川崎重工は、Pratt&Whitney社(米国、以下PW社)とRJ機用エンジン Geared Turbofan(TM)「PW1500G」「PW1900G」の開発・生産プログラムにリスク&レベニューシェアリングパートナー(RRSP)(※)方式で参画している。
このプログラムにおいて川崎重工は、民間航空機用エンジン向けとして川崎重工初となるFDGSと燃焼器を担当している。FDGSは、PW社の革新的エンジンであるGeared Turbofan(TM) engine(以下GTF)にとって優位性の根幹をなす最重要部品。GTFは燃費を向上させるために、FDGSを用いてファンの回転数とファンを駆動するタービンやコンプレッサの最適な回転数を両立させ、ファンの大型化を実現している。川崎重工は、これまでギア関連プログラムに多く参画し、開発・設計において高い技術力を評価されていることから、川崎重工がFDGSの製造を担当することとなった。今回初出荷されたFDGSは、エンジン運転試験に使われ、今後量産品を製造する。
「PW1500G」「PW1900G」は、FDGSの採用により高バイパス比を実現し、従来機に対し16%の燃費改善、75%の騒音を低減するとともに、CO2・NOxの排出も大幅に削減したGTF。「PW1500G」はA220へ搭載され、「PW1900G」は「PW1500G」の派生型エンジンで、Embraer社(ブラジル)のRJ機E190E2/E195E2に搭載される。A220およびE190E2/E195E2は、合計約700機の確定受注が公表されている。
川崎重工は、現Airbus Helicopters Germany(ドイツ)社と共同開発で1982年に型式証明を取得したBK117多用途双発ヘリコプターをはじめとするメイントランスミッションの開発・製造・修理事業参画のほか、民間航空機用アクセサリーギアボックスや航空機用交流発電機の開発・製造など、数多くのギア関連プログラムに参画してきた。
今後も川崎重工は、エンジン開発技術力の高度化、生産基盤の強化を進めるとともに、共同開発・生産プログラムへ積極的に参加することで、民間航空機用エンジン事業の発展に注力していく。
※リスク&レベニューシェアリングパートナー(RRSP):エンジンや補用部品の販売・修理事業等の全ての事業収入を参画シェアに応じて配分を受ける一方、開発・量産・販売に関する全ての費用とリスクを参画シェアに応じて負担する契約方式。
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