●年頭所感 株式会社IHI 満岡次郎社長

(1月6日朝、IHIグループ全従業員向けに行った満岡次郎社長の新年挨拶要旨)

 昨年は、米中貿易摩擦や英国のEU離脱問題など、不安定な国際政治の状況が続いた。また、気候変動をはじめとする環境問題に対して、国際社会の関心が一層高まった。デジタル技術の革新も続くなど、社会の変化はさらに進んでいる。

【「持続可能な社会への貢献」の実現に向けて】 

 私たちの事業を取り巻く環境も刻々と変化しており、脱CO2・循環型社会の実現に向けた世の中の要求はますます大きくなっている。CO2削減は、IHIグループとして、お客さまと一緒に解決していくべき使命である。国内外において、再生可能エネルギーを拡大させながら、既存のエネルギー資産を有効に利活用し、エネルギーミックスの全体最適化を実現するという課題解決への貢献が求められている。

 社会インフラ分野に目を向けると、自然災害が多発するなか、予防保全技術の高度化、工事期間の短縮、生産効率の高いインフラ整備は喫緊の課題となっている。また、建設現場や様々な産業の現場で、労働人口減少による人手不足が顕在化するなか、省人化や無人化の技術を駆使した課題解決が求められている。

 社会やお客さまのこうした課題を真摯に感じるためには、「現場、現実、現物」の三現主義とコミュニケーションが大切である。従業員一人一人が社会とお客さまを素直に、見て、感じて、考えて、ともに議論して欲しい。私も率先して、皆さんと一緒に行動していく。昨年1年を通し、各事業領域において、活動が活性化してきたと実感している。長期視点におけるIHIグループのありたい姿「持続可能な社会への貢献」の実現に向け、変革を加速させていこう。

【受注工事の管理について】 

 第2四半期の決算発表では、2019年度の業績見通しを修正した。修正要因の一部は中・小型工事の下振れに関連するものである。2016年度から、コーポレート部門を中心に、大型工事の管理徹底に取り組んでおり、その成果が着実に出ている。一方で、規模に関わらず、すべての受注工事を当初の計画どおりに実行していく必要がある。見積り段階で適所に適材を配置し、品質・コスト・納期すべての面で、必要な検討を進める。受注に際しては、検討した内容を契約に正確に反映させる。実行段階においてもリスクを低減させるため、計画どおりのアクションをとりながら、工事を進める。このように、基本に立ち戻って取り組むことが大切だ。「赤字は罪悪」という信念をもって、受注した工事を完遂し、利益を生み出していこう。

【コンプライアンス、安全、品質への取組みについて】 

 最後に、コンプライアンス、安全、品質は、事業活動すべてにおいて、最も重要で絶対にぶれてはならない軸である。昨年3月に公表した民間航空エンジン整備事業にかかわる不適切事象に対しては、同様の事態を二度と発生させないために、皆さんと一緒に様々なことに取り組んでいる。コンプライアンス、安全、品質について、一切の妥協を許さず、毅然とした対応をとる、またそのような組織風土をしっかりと育てていく。それが私の決意である。

 ニュースリリース