・グリーン電力活用推進の第一歩 自社所有のWhite Deer Wind Farm(テキサス州)により
・1,000kW級風車70基を最新技術により高効率・高出力化
・本業のものづくりを活かしサスティナブル社会創出に貢献、グループのアプローチモデルに
三菱重工業は10月29日、自社グループがテキサス州で運営する風力発電設備により、米国における全事業活動で消費する電力相当を発電することを達成したと発表した。自社が納入した陸上風車で構成されるウインドファームを昨年10月に買収後、三菱重工研究所の技術力を活用し、三菱重工グループのDiamond WTG Engineering & Services, Inc. と一体となって実施した高効率・高出力化改修および保守運転による稼働率改善により蘇らせたもので、ものづくりを通じて社会のサスティナビリティ追求に貢献していくことを企業理念とする三菱重工グループの事業アプローチモデルにもなり得る。
当該ウインドファームは、同州北西部のオクラホマ・ニューメキシコ両州に挟まれた突出部(注)に位置する「White Deer Wind Farm」で、2001年12月に商業運転を開始。三菱重工製の1,000kW級風車80基(MWT-1000×77、MWT-1000A×3)で構成されている。その運営会社を三菱重工100%出資の北米拠点法人Mitsubishi Heavy Industries America, Inc.(MHIA)が買収したのは、発電設備メーカーである三菱重工グループとして米国再生エネルギー発電市場の理解を深めるために有益との判断があったもの。
MHIAの買収当時は、補修・改修が可能な70基のうち24基が運転停止状態だった。これを三菱重工の三次元数値流体解析により最適設計した翼性能改善装着(ボルテックスジェネレータ)、制御ソフトの更新による出力や方向制御精度の向上、電気回路のノイズ耐性向上、および計画的な保守工事による再稼働数増なども併せて、性能・稼働率・信頼性の全般的な向上をはかったもの。これにより、買収後の1年間で、2018年度の米国における三菱重工グループ会社の電力消費量に相当する電力量を発電するに至った。
地球温暖化が原因とされる気候変動や自然災害の深刻化などを受け、世界の企業においても低炭素社会づくりや持続可能社会創出を掲げ、グリーン電力の活用推進に向けた取り組みが盛り上がってきている。CO2の吸収を促す植林・森林保全活動や再生可能エネルギー由来の電力消費促進など幅広い努力が期待されるなかで、三菱重工グループは今回の成功事例を励みとして企業活動の本流であるものづくりを通じたサスティナビリティ追求に力を注いでいく。
(注)テキサス州のこの北西突出部は、フライパンの柄にたとえて”Texas panhandle”とも呼ばれている。