富士フイルム、欧州拠点に約30億円投じ新工場建設、細胞培養に必要な培地の生産能力を増強

・欧州初となる培地の現地生産体制を確立し、顧客サポート力を強化

 富士フイルムは7月2日、細胞培養に必要な培地のさらなる事業拡大を図るため、欧州拠点のFUJIFILM Manufacturing Europe B.V.(オランダ・ティルブルフ)に約30億円を投資し、培地を生産する新工場を建設すると発表した。2019年中に着工し、2021年内に稼働を開始する予定。米国・日本に続き、今回初めて欧州で培地の生産工場を建設し、培地の生産を日米欧の3拠点体制で行う。

 培地は、細胞の生育・増殖のための栄養分を含んだ液体や粉末状の物質で、バイオ医薬品や再生医療製品などの研究開発・製造における細胞培養に必要不可欠なもの。現在、抗体医薬品を中心としたバイオ医薬品の需要増加、細胞を用いた治療法の拡大に伴い、培地市場は拡大しており、今後も年率約10%の伸長が見込まれている。

 富士フイルムは、2017年に総合試薬メーカーの和光純薬工業(現富士フイルム和光純薬)を買収し、培地事業に参入した。さらに2018年に、培地のリーディングカンパニーであるIrvine Scientific Sales Company(現FUJIFILM Irvine Scientific)を買収し、培地ビジネスをさらに拡大している。現在、高い研究開発力や品質管理力により顧客ニーズにあわせた最適なカスタム培地などを開発・提供。また、日本・米国に保有するcGMP(*1)対応の生産拠点を活用して、全世界の製薬企業やバイオベンチャー、アカデミアなどに製品を供給している。

 今回、富士フイルムは、北米に次ぐバイオ医薬品製造企業の集積地である欧州に、cGMPに対応した培地の生産工場を新設し、現地生産体制を確立する。これにより、受注から納品までのリードタイムを短縮し、顧客サポート力を強化するとともに、伸長する培地の需要に応えていく。新工場では、日本・米国の生産拠点同様、動物由来成分を含まないカスタム培地を生産し、バイオ医薬品製造や再生医療などの用途に提供する予定。

 今後、日本・米国・欧州の3拠点体制の下、高品質な培地を安定供給し、顧客満足度をさらに向上させていく。

 富士フイルムは、高機能・高品質な培地の開発・提供を通じて、バイオ医薬品の新薬創出や再生医療の産業化などに貢献していく。

*1 current Good Manufacturing Practiceの略。米国FDA(食品医薬品局)が定めた医薬品および医薬部外品の最新の製造管理および品質管理規則のこと。

<新工場の概要>

建設場所:FUJIFILM Manufacturing Europe B.V. (Industrieterrein Vossenberg, Oudenstaart 1, 5047 TK Tilburg, The Netherlands

総投資金額:約30億円

生産品目:バイオ医薬品製造、再生医療向けの培地など

着工時期:2019年

稼働時期:2021年

 ニュースリリース