新明和工業、業界初、機械式駐車設備における自動運転自動車の駐車実証実験に成功

 新明和工業国立大学法人群馬大学は7月1日、群馬大学の「次世代モビリティ社会実装研究センター」(CRANTS)内に設置した検証用機械式駐車設備において業界で初めて、自動運転自動車の駐車実証実験に成功したと発表した。

■自動運転車と機械式駐車設備の協調により、安全かつ高精度な自動入庫を実現

 今回の実証実験では、共同開発した「APPS(Advanced Pilot Parking System)」を導入し、業界で初めて「V2P」すなわち自動運転車(V)と機械式駐車設備(P)の間を通信により繋ぐことで、自動運転車とインフラである駐車設備が協調して駐車スペースに安全かつ高精度に自動運転車を誘導することに成功し、平面駐車と比べて高度な運転技術が求められる機械式駐車設備への自動入庫を可能にした。

■駐車場内での事故発生防止

 機械式駐車設備において、安全対策(センサー設置等)は各製造元において実施されているものの、入庫や出庫時に「人」が行う操作ミスによる事故の根絶が難しい状況にある。また、自動車事故の約27%が、平面や自走式の立体駐車場も含めた駐車場内で発生しているという調査結果もでている。

 今回、自動運転車を安全かつ高精度に機械式駐車設備まで誘導し、駐車させる技術を確立したことで、無人状態での駐車が可能となり、運転者をはじめとする「人」に依存した操作が不要となるため、駐車場における人身事故発生リスクは限りなくゼロへ近づけることが可能となる。

■共同研究の概要

 両者は、完全自動運転社会の実現に向けて、自動運転車の公道実証実験を行うなど、次世代モビリティシステムの社会実装に向けた研究に積極的に取り組む群馬大学と、未来社会における機械式駐車設備の進化を目指す新明和工業が、2017年12月から自動運転車の受け入れに関する駐車設備の共同研究に着手した。

 今回の実証実験の成功は、開発の第1フェーズの目標としていた、CRANTS敷地内の道路を走行する自動運転車と、検証用に設けたエレベータ方式駐車設備との通信システムの開発成功を意味し、業界で初めて自動入庫を実現した。

 自動運転技術は、世界の自動車メーカー各社が取り組んでいるものの、インフラ側との連携は進んでおらず、現状の自動駐車機能の精度では、機械式駐車設備への駐車が困難とされていた。一方で、国内の機械式駐車設備は、都市部を中心に累計約57万基(310万台分)が設置されており、自動運転車が台頭する世の中にあっても機械式駐車設備の有効利用は必須課題であることから、今般の実験の成功は、機械式駐車設備の価値向上を意味している。

 今後、新明和工業と群馬大学は、他のタイプの機械式駐車設備においても駐車実証実験を行い、その後、新明和工業の研究拠点(兵庫県宝塚市)に場所を移して、APPSと車路管制システムを組み合わせた実証実験に移行する予定。これらの検証データを基に、社会実装の具体化に取り組んでいく。

 併せて、自動車関連企業や不動産デベロッパーなど、「人と社会環境」、「車」、「駐車場」に関連する各種業種・産業や自治体にも働きかけ、自動運転車の普及と並行して周辺環境を整える「街づくり」を志向し、世界に先駆けた完全自動運転社会の実現に貢献していく。

 ニュースリリース