三菱日立パワーシステムズ(MHPS)は4月4日、ハルビン市に本社を置き、ガスタービンの研究開発および設計・製造を手掛ける中船重工龍江広瀚燃気輪機有限公司(GHGT:CSIC Longjiang GH Gas Turbine Co., Ltd.)とH-25形ガスタービンの製造技術に関わる技術ライセンスの供与を行うことで合意し、3月28日に技術ライセンス契約(TLA:Technology License Agreement)を締結したと発表した。
中国市場では、環境規制強化、天然ガス利用推進を背景に工業団地において既設石炭焚ボイラーからコージェネレーション(熱電併給)運用のガスタービンへの転換が進んでおり、H-25形等の小型ガスタービンの需要が高まっている。TLAにより機動的な現地供給体制を整えることで競争力を強化し、中国市場でのシェアを拡大するのが狙い。
H-25形ガスタービンは、長時間の運転実績により高い信頼性が確認されたヘビーデューティ型ガスタービン(注)。1987年の初号機受注以来、全世界で180基以上の豊富な実績と運用を誇っている。近年は、特に工業団地向けコージェネレーションのガスタービンとして高いニーズを獲得しており、これまで中国向けの案件ではCSICグループの哈爾浜広瀚燃気輪機有限公司(HGGT:Harbin Guanghan Gas Turbine Co., Ltd.)が窓口を担当するなど、緊密な関係を築いてきた。MHPSはHGGTを通じて、累積5案件9基のH-25形ガスタービンを中国で受注しており、3万~5万kWの小型ガスタービン市場において近年は高いシェアを有している。今回、CSICグループとの提携関係をさらに深める、中国政府のガスタービン国産化の政策にも沿ったTLAの締結により、中国におけるH-25形ガスタービンのさらなるプレゼンスの強化が期待される。
MHPSは、高効率の大容量発電システムから中小型ガスタービンを活用した産業向け省エネシステムまでの火力発電向けフルレンジの製品群を擁しており、トータルソリューションを幅広く提供している。今後も、大規模電源市場はもちろん、H-25形ガスタービンを代表格とする産業・分散型電源市場向け省エネシステムにおいても積極的な営業を展開、多種多様なニーズに的確に対応し、各国・地域の経済発展と環境負荷低減に貢献していく。
(注)一定の出力を維持して長時間連続運転することを前提として設計されたガスタービンで、手入れしやすく低い保守頻度で済むことを特徴としている。