知能システム、アザラシ型ロボットによるセラピーが米国で「非薬物療法」として保険適用に

 ㈱知能システム(本社:富山県南砺市)とPARO Robots US(本社:米国イリノイ州 アイタスカ)は10月15日、米国において、認知症、パーキンソン病、PTSD、ガン、脳損傷等の患者が、うつ、不安、痛み等を診断され、その治療のために「アザラシ型ロボット・パロ(米国仕様:神経学的セラピー用医療機器:クラスII)によるバイオフィードバック・セラピー(Biofeedback Therapy with PARO、以下、「BFT-PARO」)」が処方された場合に、そのトリートメントのための医療費用が公的医療保険のメディケア(Medicare)の保険適用に、また、脳梗塞後等の身体的あるいは認知的なリハビリテーションのためのBFT-PARO も、同様に、メディケアの保険適用になったと発表した。

 パロは、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(以下、産総研)等が、1993 年から研究開発し、2004 年9 月に第8 世代、2013 年9 月に第9 世代が発表され、㈱知能システムが、知的財産権のライセンスを受けた。国内80 社以上の協力を得て、富山県南砺市でパロを「アート」と「テクノロジー」の融合として、熟練職人が手造りしている。2005 年3 月25 日からパロを日本で市販、2009年以降、順次、欧米、アジア、オセアニア、中東の30 ヵ国以上で販売し、5,000 体以上が活用されている。今後は、ヨーロッパ等でもパロを医療機器化し、子供から高齢者まで、BFT-PARO が様々な疾患に対する非薬物療法として活用されることを目指している。

 日本では、海外との医療福祉制度の違いにより、パロを高齢者のケアを目的とする「福祉用具」としている。2013 年度から現在、岡山市が、総合特区事業「岡山市介護機器貸与モデル事業」の対象機器として、パロに介護保険を適用する毎月のレンタル対象として、10%の費用負担で、在宅介護の要介護者(1~5)がパロと生活する実証実験を行っている。これまでに、認知症の要介護者の「問題行動の改善」、「認知レベルの維持」、「家族等の介護者の負担の軽減」が示され、パロとの生活が、認知症の要介護者の在宅期間を維持しやすくする可能性が示された。今後、日本向けの医療機器として、安全性とセラピー効果を謳う「医療機器版のパロ」の研究開発も進め、急性期から慢性期にかけて、様々な患者に利用しやすくなるように、医療制度への組込みも目指す。

 現在、世界に認知症者が約5,000 万人おり、その医療福祉サービスのコストは、年間約1 兆ドル(約110 兆円)と見積もられている。また、ガンについては世界で毎年1,400 万人以上が新たに罹患している。パロを社会制度に組込むことにより、様々な疾患者や要介護者の生活の質の向上に寄与し、世界の医療福祉の質の向上とコストの軽減への貢献を目指す。さらに、長期宇宙探査・旅行(例えば、火星探査ミッション)における宇宙飛行士のメンタル・ヘルスのための「宇宙用パロ」の研究開発を産総研と共に進め、日米欧の宇宙機関・企業と連携して、実現を目指す。

   詳細は→ プレス発表-ISCパロ-2018年10月17日差し替え版

 なお、上記リリースは、発表者からの要請により10月17日14時に差し替えさせていただきました。