NECネッツエスアイ、自律搬送ロボット開発の米Savioke社へ出資、介護・医療や卸売・小売、製造など市場開拓

 NECネッツエスアイ(本社:東京都文京区)は7月19日、オープンイノベーションの推進を目的に運営を開始したCVC(注1)ファンド「ネッツ・イノベーション・ベンチャー有限責任事業組合」(以下、本ファンド)を通じて、人がいる環境で動作できる自律搬送ロボットを開発・展開している世界的リーダー企業Savioke,Inc.(本社:アメリカ カリフォルニア州、以下 サビオーク社)へ出資したと発表した。

 サビオーク社の主力製品であるデリバリーロボット「Relay」(注2)は、確実かつ安全に品物を運び、事業運営の効率化を実現する。米国では2014年にホテル市場への導入が始まり、Relayによるゲストルームへの軽食、飲み物、アメニティの配送サービスが展開されている。日本では、2017年7月に品川プリンスホテルに採用され、NECネッツエスアイはその導入に必要なインフラ構築からロボットのレンタル・運用・メンテナンスまでワンストップで提供している。

 NECネッツエスアイは、このたびの出資により、サビオーク社との連携を強化し、ホテル業界のみならず、介護・医療業界や卸売・小売業、製造業などの新しい市場への展開を加速する。特に病院や介護施設における医療品や検体など秘匿性の高い搬送用途に対応する機能拡張を図る。加えて、同社の高い技術力を背景として、ロボット制御のデファクトスタンダードとなるROS(注3)エンジニアの育成強化を図り、お客様の課題解決に迅速に応えられる基盤の強化に取り組む。

 現在、日本は少子高齢化が加速し、製造業や介護業界など、サービス業、金融業、観光業等の幅広い業種でもロボットの活用が模索され始め、ロボットの活躍の場が広がりつつある。生産性向上と高齢化、人材不足への懸念を背景に、従来の生産ラインの延長線上である産業用ロボットに加えて、人と協働するロボットへの注目が高まっており、特に、政府は介護従事者の負担を減らし、業務効率化を図るため介護向けロボットの開発、活用を支援するなど、今後も市場拡大が期待されている。

 NECネッツエスアイは継続してロボティクス分野でのアセットを強化し、顧客のニーズに応じたサービスロボット活用サービスでの市場拡大を図り、今後、サービスロボット事業として2020年までに売上累計約20億円を目指す。

<出資先会社の概要>

商号:Savioke,Inc.

設立:2013年9月

代表者:Steve Cousins

注1:CVC:Corporate Venture Capitalの略。投資会社がキャピタルゲインを目的としたべンチャーキャピタル(VC)と異なり、事業会社が本業との事業シナジーを目的にベンチャー企業へ出資するVC。

注2:Relay:Saviokeが設計、製造したRelayは、物流、ホテル、オフィスビル、高層マンションなどの忙しくダイナミックな環境で人と共に働く、完全自律型搬送ロボット。エレベーターの操作ができるRelayは、人が住み、働き、そして遊ぶ場所である70を超えるプロパティに配置展開され、あるいは展開が予定されている。高度なテクノロジーを使用して人や物の周りの動的な環境をナビゲートできるので、Relayは混雑した場所でも素早く安全に、高い信頼性の搬送を提供する。

注3:ROS:Robot Operating Systemの略。ROSはソフトウェア開発者のロボット・アプリケーション作成を支援するライブラリとツールを提供している。具体的には、ハードウェア抽象化、デバイスドライバ、ライブラ、視覚化ツール、メッセージ通信、パッケージ管理などが提供されている。ROSはオープンソースの一つで、BSDライセンスによりライセンス化されている。

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