㈱タダノが4月27日に発表した2018年3月期(2017年度)連結業績によると、売上高は1,737 億300万円(前期比3.4%減)、営業利益は155 億1,100万円(同16.1%減)、経常利益は149 億700万円(同19.4%減)、親会社株主に帰属する当期度純利益は、中国の関係会社関連等の特別損失2 億6,800万円を計上し、93 億9,100万円(前期比21.0%減)となった。
売上高のうち日本向けは、建設用クレーンが減少、車両搭載型クレーンが横ばい、高所作業車が増加し、975 億5,100万円(前期比4.6%減)となった。海外向けは、主力のラフテレーンクレーン需要が減少する中、ストックビジネスに注力し、761 億5,200万円(前期比1.6%減)となった。海外売上高比率は43.8%となった。
■2017年度の概況
建設クレーンなど業界は、日本では、東京オリンピック・パラリンピックに向けた建設需要・復旧復興・防災減災・インフラ老朽化対策・民間建設投資等により稼働は堅調なものの、オペレーター不足に加え、中古価格の低迷、売価アップとなった新モデルの市場浸透遅れもあって、需要は減少した。海外では、オーストラリア・ロシアの回復に加え、北米が年末にかけて回復基調となった。その他の地域は減少し、全体として需要は横ばいとなった。
このような経営環境のなか、タダノグループは、国内外で引続き新モデルを投入し、販売価格の維持とストックビジネスに注力するとともに、原価低減を推進した。また、長期成長に向けた生産能力の拡大のため、2017年11 月に高松市内で新工場の建設に着手した。新工場は2019 年度の稼働を目指し、約210 億円を投資する予定。
■セグメント別の状況(タダノ及び連結対象子会社の所在地別の売上高・営業利益で、仕向地別売上高とは異なる)
<日 本> 日本向けは、建設用クレーンが減少、車両搭載型クレーンが横ばい、高所作業車が増加し、全体では売上は減少した。一方で、海外向けは増加し、その結果、売上高は1,408 億8,900万円(前期比0.6%増)、営業利益は155 億7,200万円(同3.3%減)となった。
<欧 州> 建設用クレーン売上は欧州域内が減少、欧州域外が増加、売上高は367 億7,200万円(同7.1%減)、新モデル移行や品質対応に伴うコスト増により、営業損失は2 億7,700万円(同+8 億6,900)となった。
<米 州> 北米での建設用クレーン需要が回復基調となる中、新製品効果もあり、売上高は298 億3,500万円(同16.4%増)となった。営業損失は2 億4,400万円(同△6,400万円)となった。
<その他> 建設用クレーン需要が減少し、売上高は123 億7,000万円(同5.4%減)となり、営業損失は4,400万円(同+2 億1,900万円)となった。
<建設用クレーン> 日本向け売上は、拡販に注力したものの、需要の減少と機種構成の影響もあり、381 億7,900万円(同15.2%減)となった。
海外向け売上は、タダノ主力のラフテレーンクレーンの需要減少により、608 億4,300万円(同5.8%減)となった。
この結果、建設用クレーンの売上高は990 億2,200万円(同9.7%減)となった。
<車両搭載型クレーン> 日本向け売上は、排ガス規制の反動減により年度後半にトラック需要が減少する中、拡販に注力し、179 億7,000万円(同1.2%減)となった。
海外向け売上は、東南アジア・中東向けの販売体制の整備に注力し、17 億600万円(同18.5%増)となった。
この結果、車両搭載型クレーンの売上高は196 億7,700万円(同0.2%増)となった。
<高所作業車> インフラ点検補修用途のニーズを背景にしたレンタル業界向け売上に加え、通信業界の設備投資の拡大もあり、高所作業車の売上高は、過去最高の246 億7,800万円(同比6.4%増)となった。
<その他> 部品、修理、中古車等のその他の売上高は、ストックビジネスへの取組み強化により、303 億2,400万円(同11.4%増)となった。
■2018年度の見通し
市場環境は、日本では、建設用クレーンは高稼働を維持するものの、オペレーター不足もあり横ばい、車両搭載型クレーンは小型トラックの排ガス規制による駆け込み需要もあり増加、高所作業車は需要サイクルの観点から減少を見込んでいる。海外は、原油・資源価格の回復による需要喚起が期待され、需要サイクルの観点からも2017年をボトムに増加に転じると予想している。
売上高1,920億円(前期比10.5%増)、営業利益170億円(同9.6%増)、経常利益165億円(同10.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は115億円(同22.4%増)の見通し。
なお、今年1 月19 日に公表した排ガス規制の緩和措置に関する米国環境保護庁への自己申告は、現在、米国法律事務所による調査が進行中であり、今後、開示が必要な事由が判明次第、適時適切に対応する。なお現在は、最も厳しい規制に適合するエンジンを搭載した建設用クレーンのみを販売しており、北米での販売に影響は出ていないとしている。
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