東レ、約137億円を投じて米国子会社ハンガリー工場でラージトウ炭素繊維設備を増強

 東レは4月6日、米国子会社Zoltek Companies,Inc.(本社:ミズーリ州セントルイス、以下、Zoltek)において、ラージトウ(※1)炭素繊維の生産設備増強を決定したと発表した。今回の設備増強では、Zoltekのハンガリー工場(所在地:ハンガリー、ニュアルゲッシュウーイファロウ)の生産能力を現行の年産1万トンから1万5千トン強に増強する計画。設備投資額は約1億3,000万USD(約137億円)で、2020年度初めの生産開始を予定している。(Zoltecの拠点

 Zoltekは、現在メキシコ工場の能力を年産5千トンから1万トンに引き上げる設備増強を実施中で、今回のハンガリー工場での増強後には、Zoltek全体で年産約2万5千トン強の生産能力となる。

 Zoltekはハンガリー政府との間で、2015年3月に戦略的提携契約を締結し、ハンガリーで事業運営を行うにあたって、インフラ整備や従業員採用、従業員教育への補助など様々な形で、ハンガリー政府から強力な支援を得ている。今回の増設はこの戦略的提携契約に基づく設備増強計画。

 ラージトウ炭素繊維は、産業用途向けの需要が急拡大しており、なかでも風力発電機翼用途では、欧州をはじめ、中国、インドを中心としたアジアや南米でも需要が増えている。また、発電機の大型化により、1機あたりのラージトウ炭素繊維使用量増加による更なる需要拡大が期待されている。Zoltekは今後も、米国、ハンガリー、メキシコに生産拠点を持つ強みを生かして、発電機翼製造メーカーのグローバルな需要拡大に追随する地産地消型ビジネスを展開していく。

 また、欧州で炭素繊維採用が先行する自動車の構造体用途向けには、今回生産設備増強を決めたハンガリー工場からのタイムリーな供給体制を確立し、将来の需要拡大への対応を迅速に行い、自動車構造体用途におけるグローバルスタンダード化を目指す。

 Zoltekは引き続きハンガリー工場、メキシコ工場での炭素繊維生産設備増強を進め、ラージトウ炭素繊維の世界ナンバーワン企業として、圧倒的な供給体制を構築していく方針。

 東レは中期経営課題“プロジェクト AP-G 2019”において、炭素繊維複合材料事業を戦略的拡大事業と位置づけており、積極的な経営資源の投入による事業拡大を進めていく計画。レギュラートウ(※2)、ラージトウ炭素繊維において、それぞれの強みを発揮できる分野での拡大に注力すると共に、両製品の長所を活かしたシナジー効果を発現させていき、更なる事業拡大を目指していく。

 ※1 ラージトウ:フィラメント数が40K(40,000本)以上の炭素繊維で、風力発電機翼、樹脂コンパウンド強化剤等の産業用途での要求特性を満たす、比較的低価格の製品として使用されている。

 ※2 レギュラートウ:フィラメント数が24K(24,000本)までの炭素繊維で、航空機や圧力容器等、高性能・高品位が要求される分野で使用されている。

<Zoltek Companies,Inc.(Zoltek)の概要>

事業内容:ラージトウ炭素繊維複合材料および耐炎糸の製造・販売

本社所在地:アメリカ合衆国ミズーリ州セントルイス

設立:1975年(2014年2月に東レの子会社化)

代表者:竹内 芳裕(社長 兼 CEO)

 ニュースリリース