愛知製鋼、次世代鍛造品開発用サーボ式プレスラインが竣工

■自動車の電動化による機構変化を見据えた鍛造品開発を加速

 愛知製鋼は7月12日、HV(ハイブリッド)、PHV(プラグインハイブリッド)など自動車の電動化による機構変化に確実に対応し、革新的な鍛造技術開発を進めるため、新たにサーボ式(※1)プレスラインを建設し、竣工式を執り行ったと発表した。

 自動車のエンジン、トランスミッションなどのユニット系は強度・剛性に優れた特殊鋼からなる鍛造品が多く使われているが、今後、電動化によりコンパクト化、機構変化が進むため、それを構成する部品には、小型・軽量化に加え、部品機能を統合できる高機能化が強く求められている。

 愛知製鋼では、従来から材料・工法を組み合わせる「鍛鋼一貫」(※2)での鍛造品開発を進めており、ネットシェイプ(※3)によるお客様の加工コストの大幅低減、高強度化による小型・軽量化に取り組んできた。これに加え、今後の次世代車における部品の高機能化ニーズを受け、革新的な工法開発が可能な鍛造用サーボ式プレスラインを導入することとした。

 サーボ式プレスは、熱間鍛造の分野においては、これからの技術であり、成型速度を自在に変化させることで、従来の熱間鍛造では対応できない複雑な形状に対応できる技術である(下図)。さらに、国内鍛造品メーカーで初めてサーボ式プレスに複動成形機構を内蔵し、それらの利点を最大限に生かした新製品・新工法を開発、より高度な鍛造品開発を加速する。また、様々な製造データの記録・活用にIoT技術を用いることで、開発期間の短縮にも貢献する。

 愛知製鋼は引き続き、品質・精度・コスト競争力に優れた製品をタイムリーにお客様にご提供する、という使命を果たしていくことで「もっといいクルマづくり」と、地球に優しいクルマ社会の創造に貢献していく。

<プレスライン概要>
建設内容:研究開発用 サーボ式プレスライン
設置場所:愛知製鋼実験工場内(東海市荒尾町)
設備構成:鍛造用 1200トン サーボ式プレス、高周波加熱炉、付帯設備
生産品目:鍛造品(研究開発・試作用)
投資額:6億円

(※1)サーボ式:金型の上下スライド位置情報をフィードバックさせ自動制御できるモータ(サーホ゛モータ)を駆動に用いる方式
(※2)「鍛鋼一貫」:材料設計から鋼材→鍛造→部品プロセス技術まで一貫する開発・生産プロセス技術
(※3)ネットシェイプ:鍛造品を製品により近い形状とし、お客様の加工量を激減させる