明電舎、シンガポールで上水用膜処理プラント向けセラミック平膜を初納入

 明電舎は6月27日、同社の現地法人Meiden Singapore Pte.Ltd.(明電シンガポール)は、シンガポール公益事業庁(PUB)のチェスナッツアベニュー浄水場・上水用膜処理プラントにセラミック平膜を初納入したと発表した。PUB浄水場へのセラミック平膜導入は初であり、また、セラミック平膜を導入した表流水浄水場としては世界最大規模となる。プロジェクトは、2016年4月にPUBから地元EPC会社経由で既存浄水設備の増設工事として受注したもので、2017年6月に運転を開始した。

ニュースリリース

 明電舎製セラミック平膜は、高いろ過性能、省エネルギー、高耐久性、長寿命という特長があり、主に下水・排水処理分野で活用されてきた。河川や貯水池などの表流水を安全な飲料水にする高度な浄水処理技術が求められる「上水処理」用としては、今回が初めての納入。また今回納入したセラミック平膜は、明電シンガポールに2015年に新設されたユニット組立工場からの出荷品(地産品)となる。

 明電舎は、2010年にPUBと水処理技術の共同開発に関する覚書(MOU)を締結し、ジュロン水再生センターなどシンガポール国内の様々な水再生センターで水処理についての実証研究を進めてきた。今後も、水資源不足から水の安定供給を課題とするシンガポールを、セラミック平膜を活用した水処理事業の中核拠点として位置づけ、東南アジアや中東地域への事業拡大を目指している。

 また、今回のセラミック平膜の上水用プラントへの導入実績は、日本国内の浄水場設備が抱えている老朽化対策の解決事例としてモデルになるものであり、今後国内水道事業分野でも積極的に提案していくとしている。

<チェスナッツアベニュー浄水場 増設プラント概要>
・使用膜:セラミック平膜(MF膜)
・増設目的:造水量不足の解消
・原水:貯水池
・処理水量:36,400m3/日

<特 長>
・高い上水ろ過能力:有機膜と比べ高効率で膜ろ過ができ、上水処理プラントとして造水能力の最大化が可能。
・レトロフィット(既設水槽流用)による設置コスト低減:今回は将来用予備水槽への膜設備増設案件ですが、浸漬型膜の特性を活かして既存水槽へ当社セラミック膜を収納したことで設置コストを最小限に抑えました。
・ライフサイクルコストの優位性:セラミック平膜の特徴である「長寿命」・「省エネ」を活かし、ランニングコスト(メンテナンス・膜交換費用)を含めた経済性が高く評価され採用。