■マニラ首都圏の上水道サービスの改善に寄与
国際協力機構(JICA)は6月7日、東京でフィリピン法人Maynilad Water Services, Inc.(マニラッド社)との間で、同社が実施する無収水対策事業に対する融資契約を締結したと発表した。
マニラッド社は、マニラ首都圏上下水道供給公社との間のコンセッション契約に基づき、マニラ首都圏西地区において上下水道事業を実施している。対象地域の総人口は985万人(2015年8月)に上り、今後人口増加や生活水準の向上に伴う一人当たり水使用量の増加等による水需要の増加が見込まれている。このため、上水道サービスの拡大・質の向上や無収水対策を通じた配水ロスの少ない効率的な水供給の実現が重要となっている。
今回JICAは、長期譲許的資金が求められる無収水対策事業(配水管の更新、メーター・配水制御システムの調達等)に必要な資金をマニラッド社に融資する。また、三菱東京UFJ銀行およびみずほ銀行が上水道拡張事業(配水管の新設、既存浄水場の拡張等)に必要な資金を同社にアレンジしており、2015年11月に日本政府が発表した「質の高いインフラパートナーシップのフォローアップ」で示された、JICAと民間金融機関との協調融資の第一号案件になる。
本件は、マニラッド社に出資参画する丸紅他の提案に基づく協力準備調査(PPPインフラ事業)の実施を通じ、JICAが事業計画策定段階から協力して案件形成を進めてきたもの。フィリピン向け及び水セクター向けの初の海外投融資となるほか、JICA海外投融資では初の現地通貨建融資として、フィリピンペソ建融資を含む案件であり、マニラッド社にとっては為替リスク負担の軽減等の効果が期待される。