新菱冷熱工業は4月21日、2020年をめどに、茨城県つくば市の中央研究所を次世代環境技術の研究開発拠点として、全面的に再構築すると発表した。規模は、35,000m2の敷地に、現在の延床8,200m2に加えて、増設エリアに5,000m2を新たに増築する計画。再構築費用は、30億円を見込んでいる。
同社は、1970年に研究開発部門を設置し、その後、1990年につくば市に移転し、「環境ルネッサンス」を宣言した当時最先端の研究所”中央研究所”を構築した。この中央研究所が2020年に開所30周年を迎える。これを区切りとして、基礎研究やフィールド実証研究をさらに強化し、これからの環境・省エネルギーの社会的ニーズに対応する。また、社内外とのコミュニケーションを深める場として、有効に利用できる施設を構築する。この改革を推進するため、2017年4月に「中央研究所イノベーションプロジェクト」を社内に設置、これからの研究開発のビジョンを定め、構想を具体化していく。
この中央研究所からは、これまでさまざまな研究開発成果が生み出されてきた。
環境制御領域における最近の成果では、医療施設などで課題となっている有害なホルムアルデヒドを除去するMediECO-FA (ホルムアルデヒド除去装置) およびU Flow system (発散抑制気流方式) の開発があります。これにより、医療従事者に安全・安心な作業環境を提供してきた。この技術は、化学物質除去と気流制御を融合させた高度な空気質制御技術。
また、製造業でのモノづくりに必要な環境として、クリーンルームにおける空気中のケミカル成分除去技術や二次電池などの製造に必要な低露点環境であるドライルームなどの生産環境分野の成果がある。
さらに、遺伝子組換え技術による有用物質の生産においては、これまで取り組んできた生物・植物の生育環境の確立により、バイオ分野への貢献も大きくある。
今後は、環境制御領域に加え、IoTの進展によるビッグデータの利用技術や室内環境におけるAIの活用など、先進的な研究も進めていくことになる。
こうした中で同社が目指すものは、現在の常識を超えた次世代環境技術であり、それに向けて施設群を一新、また必要な増設を行う。このために、時代を先取りした環境制御技術、省エネルギー技術、デジタルエンジニアリングなどを積極的に取り入れ、次代に挑戦していくことになる。
同社は、この研究開発拠点の全面的な再構築を通して、サステナブル社会への適合を図り、持続可能な社会の構築、さらなる地球環境保全の取り組みを推進していく。