日立レール、米Clever Devices社を買収、公共交通ITSでマルチモーダルモビリティ拡大へ

日立製作所の鉄道システム事業部門 を担う日立レールは4月3日、米国ニューヨーク州ウッドベリーに本社を置くClever Devices社(以下、Clever Devices)の買収契約を締結したと発表した。世界の公共交通機関向け高度道路交通システム(ITS)のリーディングプロバイダーである同社の買収により、日立レールは鉄道分野を超えたマルチモーダルモビリティ領域への事業拡大と、北米市場でのプレゼンス強化を図る。買収完了後の2026年売上高は2億2,000万ドル(約350億円)超を見込む。

Clever Devicesは1987年設立、従業員約600人を擁するITS専門企業。北米の大手公共交通事業者10社のうち8社にソリューションを導入する実績を持ち、バス・パラトランジット事業者を中心に250社以上を顧客に抱える。主要製品は運行監視システム(車両診断監視を含む)、通信システム、データマネジメントシステム、EV管理システム、旅客情報システム(リアルタイム時刻案内・音声案内・表示システム)など。鉄道だけでなくバスを中心とした公共交通の運行効率化と乗客サービス向上に特化した技術ポートフォリオを有し、ブラジル、チリ、イタリアを含む欧州・南米市場でも成長を続けている。

日立レールは自社のデジタルアセットマネジメントプラットフォーム「HMAX Mobility」とClever Devicesのデータ活用ソリューションを連携させることで、列車・信号・線路データを接続した鉄道デジタルツインの機能を公共交通全般に拡張する。高度センサー、AI、エッジコンピューティングを活用した運行パフォーマンス最適化、資産寿命延伸、コスト削減に加え、エネルギー管理最適化や温室効果ガス削減にも寄与する。スマートモビリティ領域では、Clever Devicesのバス運行管理技術と日立レールの運行管理センターを組み合わせ、都市部でのリアルタイム連携型マルチモーダルソリューションを実現。持続可能なインターモーダル交通への移行を加速させる狙いだ。

日立レールグループCEOのGiuseppe Marino氏は「この買収は公共交通のDXを加速する重要なマイルストーンだ。Clever Devicesの豊富なITS実績と日立レールのグローバル規模、HMAX Mobilityを融合させることで、データドリブンなモビリティソリューションを提供し、交通インフラの最適化に貢献する」とコメント。鉄道に限らない事業拡大と北米プレゼンス強化を強調した。

日立レールは北米での事業基盤強化を積極的に進めており、昨年には米国ヘイガーズタウンに1億1,000万ドルのデジタル・ライトハウス工場を開設、カナダ新本社にも3,000万カナダドルを投資している。One Hitachi戦略のもと、Hitachi DigitalやGlobalLogicなどのグループ企業とも連携し、先進技術開発を加速させる方針。

本取引は規制当局の承認を経て年内に完了する見込み。日立レールはJ.P. MorganおよびRopes & Gray LLPをアドバイザーに起用している。

機械・交通インフラ業界では、公共交通のデジタル変革が加速する中、鉄道システムとITSの融合による次世代モビリティプラットフォームの構築が注目されている。今回の買収は、日立グループの社会イノベーション事業(SIB)におけるモビリティ分野の戦略的強化として、国内外の機械関連企業に大きな示唆を与えるものとなる。

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