・フィリピン・タイ・中国の3拠点で水冷・空冷設備を増強、2030年度に水冷モジュール売上4,000億円を目指す。
古河電気工業(東京都千代田区)は3月30日、データセンタ向け放熱・冷却製品の生産能力増強を目的とした設備投資を実施すると発表した。投資総額は約550億円で、水冷モジュールに約510億円、空冷ヒートシンクに約40億円を充てる。生産拠点はフィリピン、タイ、中国の海外3拠点となる。
■生成AI普及が引き金、高性能冷却製品への需要が急拡大
生成AIの急速な普及を背景に、データセンタで稼働するCPU・GPUなどの演算装置は発熱量が増大し続けている。現在の主流は送風ファンを用いた空冷方式だが、演算装置に直接冷却水を流すコールドプレートを搭載した水冷方式は冷却性能が高く、今後の大幅な需要拡大が見込まれる。同社はこうした市場環境の変化を機敏にとらえ、今回の大型投資に踏み切った。
■3拠点で生産体制を拡充
今回の投資では、主力生産拠点であるフィリピン・ラグナテクノパーク工業団地内のFURUKAWA ELECTRIC THERMAL MANAGEMENT SOLUTIONS & PRODUCTS LAGUNA, INC.(FTL)において水冷モジュール工場を拡張する。
加えて、タイ・アユタヤ県ロジャナ工業団地内のFurukawa FITEL (Thailand) Co., Ltd.(FFT)には水冷モジュールの新工場を新設。中国・蘇州工業園区内の古河奇鋐電子(蘇州)有限公司(FAZ)とFTLでは、空冷ヒートシンクの製造設備も増強する。
■量産開始スケジュールと売上目標
量産開始は段階的に進める計画で、空冷ヒートシンクは2026年7月にFTLおよびFAZで先行スタート。水冷モジュールはFTLが2027年1月、FFTが2028年1月に稼働を開始する予定だ。
なお、2024年度以降の水冷モジュール増産に係る投資総額は、2024年7月および2025年11月に発表済みの投資分と合わせて約740億円に達する。
売上目標については、既発表分の生産能力増強による寄与を含め、水冷モジュール単体で2027年度に1,000億円以上、2030年度には4,000億円を計画している。
■今期業績への影響は限定的
今回の投資が2026年3月期の連結業績に与える影響は軽微としているが、2026年度以降は各拠点での量産開始に伴い、売上増加への着実な貢献が見込まれる。
同社は「高性能・差別化製品の提供を通じて、生成AIの発展を支えるデータセンタの進化と通信インフラ分野の成長に貢献していく」としており、冷却ソリューション事業を今後の主要成長ドライバーの一つと位置づけている。
■プロジェクト概要
- 投資総額:約550億円(水冷モジュール:約510億円、空冷ヒートシンク:約40億円)
- 投資内容:
• フィリピン(FTL):水冷モジュール工場拡張+空冷ヒートシンク設備増強
• タイ(FFT):水冷モジュール新工場設立
• 中国(FAZ):空冷ヒートシンク設備増強 - 量産開始予定:
• 空冷ヒートシンク:2026年7月(FTL、FAZ)
• 水冷モジュール:2027年1月(FTL)、2028年1月(FFT) - 水冷モジュール累計投資額(2024年度以降、本件含む):約740億円
- 水冷モジュール売上目標:
• 2027年度:1,000億円以上
• 2030年度:4,000億円