ダンフォス、T2温度式膨張弁が誕生60周年—累計6,500万台、生産・省エネで業界基準を確立

ダンフォス(Danfoss):2026年3月28日

ダンフォスは3月28日、同社の主力製品であるT2温度式膨張弁(Thermostatic Expansion Valve)が誕生60周年を迎えたと発表した。1966年にデンマーク・ノルボー(Nordborg)の生産ラインで初めて製造されて以来、世界で累計6,500万台以上を生産し、商業用冷凍分野の標準を形づくってきた。

T2は冷凍・冷却システムの中核部品として、スーパーマーケット、冷蔵倉庫、アイスクリーム機器、ヒートポンプ、空調設備など幅広い用途に採用されている。目立たない存在ながら、安定性、安全性、エネルギー効率の確保に不可欠な役割を担い、「冷凍システムの心臓」とも称されている。

技術進化や規制強化、新冷媒の導入といった業界環境の変化の中でも、同製品は高い信頼性とフェイルセーフ設計を維持し続けており、現在も性能面でのベンチマークとなっている。

T2の技術的ルーツは1933年にマッズ・クラウセン(Mads Clausen)が開発したダンフォス初の膨張弁にさかのぼる。TRVやTVJといった初期製品が基盤となり、1960年代半ばにT2として結実した。開発にはクヌード・G・ハイン(Knud G. Hein)ら技術者が関わり、品質と設計への強いこだわりが製品に反映された。

発売当初は社内で「小さな醜いアヒルの子」とも呼ばれていたが、小型・堅牢・高安定性といった特長が評価され、短期間で世界的な評価を獲得した。

その後もT2は時代に適応し続けてきた。モントリオール議定書に伴う冷媒転換、レーザー溶接・刻印技術の導入、ステンレス製キャピラリーチューブやニッケルフリー設計、2008年の中国での生産開始、自動化ラインの導入などを通じて進化。さらに、ダンフォス・クールセレクター(Danfoss Coolselector®)やTXVチューン(TXV tune)といったデジタルツールにも対応し、最適化により最大8〜10%の省エネ効果を実現する。

また、低GWP冷媒対応としてCO₂用温度式膨張弁も展開するなど、環境対応も強化している。

こうした長年の取り組みにより、2016年の50周年時点で累計5,000万台を達成。初期50年間で推定15万7,000GWhのエネルギー削減に寄与した。現在もコンプレッサー保護や消費電力削減、食品安全確保に貢献している。

ダンフォスのラッセ・ニコライ・ラングマーク(Lasse Nicolai Langmaack)プロダクトマネジメントディレクターは、「T2は単に存続しているのではなく、進化し続けている」と述べ、製品の持続的な価値を強調した。

60周年にあわせ、同社は記念書籍「ザ・ゴールデン・エッグ(The Golden Egg)」のオンライン追補章を公開した。同書はスヴェン・カール(Svend Carl)、カイ・オールセン(Kaj Ohlsen)、ヘンリク・“アイアン・ヘンリー”・デニング(Henrik “Iron Henry” Denning)、スヴェン・ストゥーア・イェプセン(Svend Stuhr Jepsen)、エイナー・コベロ・アンデルセン(Ejner Kobberø Andersen)、クレスティーネ・ヘルマンスン(Chrestine Hermansen)ら関係者の証言を通じて、T2の発展の歴史を描いている。

新章では、ニールス・ロバート・アービャー(Niels Robert Arbjerg)エアコン・冷凍制御部門シニアバイスプレジデントが「信頼性は時代遅れにならない。T2は当社の価値観である技術力と信頼の象徴だ」とコメントしている。

ダンフォスは「T2の60年は通過点に過ぎず、今後も進化を続ける」としており、同製品は今後も冷凍・空調分野における基幹部品としての地位を維持するとみられる。

ニュースリリース