住友重機械工業、住友建機、フジタの3社は3月30日、自律ショベルと自律クローラダンプが協調して土砂の積み込み・運搬を行う実証試験を完了し、その結果を発表した。異なるメーカーの自律型建設機械が単一の施工管理システムの指令のもとで連携し、「掘削→積み込み→運搬→排土」の一連の作業サイクルを安全に完遂できることを確認した。
■人手不足と生産性向上が開発の背景に
建設業界では若年就労者の減少と高齢化による深刻な労働力不足が続いており、国土交通省もi-Construction 2.0を推進するなど、施工のオートメーション化は業界全体の急務となっている。こうした状況を受け、3社は各社が独自に培ってきた技術の融合により、土砂搬出の自動化という具体的な課題への解を追求した。
住友重機械・住友建機は周囲環境を認識して自律的に動作する油圧ショベルの開発を独自に推進。フジタは内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)を通じて、複数の建設機械を統合的に制御する施工管理システムの実証実績を積んでいた。今回の試験は、これら各社の強みを持ち寄ったものだ。
■千葉県の実工事現場で約6週間にわたり検証
実証試験は2026年1月19日から2月28日にかけて、フジタが千葉県で施工中の船橋都市計画事業海老川上流地区土地区画整理事業の現場で実施された。実際の施工現場での検証という点で、試験の実用性評価としての意義は大きい。
各社の役割分担は明確で、住友重機械が自律ショベルを、住友建機がそのベースとなるICT施工対応油圧ショベル(SH200Z)を提供。フジタは自律クローラダンプの提供に加え、全体の司令塔となる施工管理システムの開発を担った。
■AIがオペレータの動作を学習、滑らかな積み込みを実現
技術面の特長として注目されるのは、ショベルに搭載されたAIの学習アプローチだ。熟練オペレータの操作を参考データとして学習させることで、ぎこちない機械的動作ではなく、人の操作に近い滑らかな動きを実現している。
また、ショベルは地面とクローラダンプ荷台上の土砂形状をリアルタイムで認識し、最適な掘削位置を自ら判断しながら連続積み込みを行う。クローラダンプ側も障害物を認識・回避しながら自律走行し、ショベルから積み込みを受けられる最適な位置に自動停車・旋回する。安全面では非常停止やフェイルセーフ、通信喪失時の安全側動作といった機能も実装済みだ。
■従来2人必要だった作業をオペレータ1人で完結
今回の実証で最も注目すべき成果は省人化効果の確認だ。これまでショベルとクローラダンプそれぞれに1人ずつ、計2人のオペレータが必要だった作業が、施工管理システムを監視するオペレータ1人で完結できることが実証された。今後、協調可能な建設機械の台数が増えるほど省人化効果はさらに拡大する見込みで、スケーラビリティの高さも示された。
機体同士の接触といった安全上のトラブルも発生しなかったことも、現場導入への道筋を確かなものにしている。
■実用化・本格導入へ開発を加速
3社は今回の実証成果を踏まえ、安全性・信頼性・保守運用性のさらなる向上に取り組む方針を示している。ICT・自動化・ロボティクス技術を組み合わせた建設現場の省力化・省人化は、業界の構造的課題を解決する切り札として期待される。各社が連携した自律建設機械の本格的な現場展開が、現実味を帯びてきた。
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