・稼働率・経済性で優位性
・世界で約400台が稼働
リープヘル(Liebherr):2026年3月27日
リープヘルは、繊維ロープ技術「ファイバー(Fibre)」を採用したタワークレーンが、開発段階から市場実装へと移行し、世界各地で普及が進んでいると発表した。修理性の向上やロープ短縮機能の追加、総寿命の延長などにより、稼働率と経済性が大幅に改善している。
同技術は、2019年の市場投入以降、鋼製ロープに代わる革新的ソリューションとして位置付けられてきた。現在では世界で約400台が稼働し、販売構成比も約40%に達している。15年以上の開発期間、約8万7,000時間の試験、10年以上の実地検証を経て、実用技術として確立された。
■修理性向上で現場対応率80%へ
ファイバー技術の大きな特徴は、損傷時の対応力にある。修理機能の強化により、現地での修理対応率は従来の約50%から80%へ向上。さらにロープ短縮機能と組み合わせることで、最大90%の損傷を現場で修復可能とした。
これにより、交換ロープの購入や長時間の停止を大幅に削減できる。鋼製ロープでは交換に約1日を要するケースもあるが、ファイバーでは迅速な現場修理が可能で、ダウンタイム低減に寄与する。
また、これまでのサービスデータによると、理論上の故障率は2%未満とされ、鋼製ロープでは実現困難な高い稼働率を実現している。縫合技術や材料を改良した独自の修理プロセスは特許出願により保護されている。
■寿命14年へ延長、投資安心性も向上
リープヘルはファイバーロープの総使用期間を14年へ延長。運用期間と保管期間を含み、既存機にも遡及適用される。
さらに、ファイバーと鋼製ロープ間の相互転換も可能で、ユーザーは用途や条件に応じて柔軟に選択できる。これにより、新技術導入への心理的障壁を低減し、投資の安全性を高めている。
■最大40%の吊上能力向上
技術面では、軽量な繊維ロープにより取り扱い性が向上し、負荷能力も増大。既存の鋼製ロープ機と比較して最大40%の吊上能力向上が可能としている。
加えて、メンテナンス負担の軽減や、コンクリート端部などの損傷要因への耐性も向上。過負荷時にも交換ではなく修理で対応できる点が評価されている。
■世界各地で導入拡大
ファイバークレーンは欧州や南米などで導入が進む。ドイツではRWEプロジェクトにおいて「1188 EC-H 40 ファイバー」が採用され、スペインではアルセロールミタル(ArcelorMittal)が電炉建設で使用。ブラジルの新製鉄所建設でも同機が採用される予定だ。
フランス・ブレストのトラム橋建設では「520 EC-B 20 ファイバー」、オランダ・アムステルダムのホテル建設では「370 EC-B 12 ファイバー」が稼働中。さらに、ドイツ・ハンブルクのアウルビス(Aurubis)プロジェクトや、ミュンヘンの都市開発案件でも活用されている。
海洋環境でも優位性を発揮しており、腐食の影響を受けにくい特性から、キュラソーのダーメン・シップリペア(Damen Shiprepair)ではインフラ更新工事に「370 EC-B 16 ファイバー」が採用されている。
■顧客の全面移行も進展
販売代理店やレンタル会社からの評価も高い。ボイトルハウザー・ホールディング(Beutlhauser Holding GmbH)は「新規購入はすべてファイバーとし、既存機も順次転換する」と表明。ナーゲル・ミートサービス(Nagel Mietservice GmbH)も2020年以降はファイバー機のみを採用している。
フェウリッヒ・バウマシーネン(Feurig Baumaschinen GmbH)は「高い耐久性と修理性を評価し、今後は100%ファイバーに投資する」としている。
ノルウェーのウトライエコンパニエ(Utleiecompagniet AS)や、スイスのリープヘル・バウマシーネン(Liebherr-Baumaschinen AG)でも導入拡大が進み、レンタル機材の主力として位置付けられている。
■市場標準化へ前進
リープヘルは、迅速な現場修理やロープ短縮によるダウンタイム削減、長寿命化、高負荷性能を背景に、ファイバー技術が鋼製ロープの代替を超えた新たな標準になりつつあると強調する。
欧州やカリブ地域など多様な現場での実績と、顧客の積極的な採用拡大を背景に、ファイバークレーンは現代のタワークレーン市場における新たな基準として定着しつつある。
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