・宇宙・防衛向け安定供給体制を強化
火薬・化学品メーカーのカーリット(東京都中央区)は3月26日、群馬工場(群馬県渋川市)内の過塩素酸アンモニウム混合・粉砕工場を対象とした老朽化対策工事への着手を取締役会で決議したと発表した。投資金額は20〜25億円を見込んでおり、2029年度下期の全面操業を目指す。
■増産計画の次フェーズへ、安定供給体制の確立が目的
同社は中期経営計画「Challenge2027」において、過塩素酸アンモニウム事業を重点領域に据え、宇宙・防衛産業の将来需要を見据えた増産と供給体制強化を推進してきた。今回の工事は、現在進行中の第3期増産工事の完成後を見据えた取り組みであり、既存設備・工場の更新および必要に応じた新設を行うもの。同社は「本工事単体による即時の生産能力増強を目的としたものではない」と説明しており、あくまで長期的・安定的な供給基盤の整備が主眼となっている。
工事期間は2026年度下期から2028年度下期を予定しており、全面操業は2029年度下期を計画している。
H3ロケット用途など需要拡大が続く過塩素酸アンモニウム
過塩素酸アンモニウムは、H3ロケットをはじめとする固体ロケットブースターや防衛用固体推進薬の主原料として幅広く使用される戦略的素材だ。カーリットは同社名の由来ともなった「カーリット爆薬」の原料として1934年から製造を継続しており、固体推進薬原料としては1964年から供給実績を持つ。電気分解技術と危険物取扱いのノウハウを核とした同社のコア技術が、安定供給を支えている。
■増産3フェーズに続く継続投資
累計投資額は50億円規模に
同社はこれまでにも総額約25億円の増産投資を段階的に実施してきた。2023年8月に第1期工事が完成、第2期工事(2024年3月着手)および第3期工事(2024年10月着手)はいずれも計画どおり進行中だ。今回の老朽化対策工事はこれらに続く追加投資であり、国内における過塩素酸アンモニウムの安定供給体制の一層の強化が期待される。
なお、同社は本件について「適時開示基準には該当しないが、有用な情報と判断し任意開示を行う」としている。
■計画概要
∙ 工事内容 過塩素酸アンモニウム混合・粉砕工場 老朽化対策工事(更新・新設)
∙ 所在地 株式会社カーリット 群馬工場内(群馬県渋川市半田2470番地)
∙ 工事期間 2026年度下期〜2028年度下期(予定)
∙ 全面操業 2029年度下期(予定)
∙ 投資金額 20〜25億円(精査中)
∙ 目的 老朽化設備の更新による安定供給体制の確立(即時の増産を目的とするものではない)
∙ 主な用途 H3ロケット等の固体ロケットブースター、防衛用固体推進薬の主原料
∙ 関連計画 中期経営計画「Challenge2027」における重点事業領域