・自律産業用トラックと安全認証AI検知で効率化加速
KION グループ(KION GROUP AG):2026年3月16日
サンノゼ(San José)――産業用車両世界大手のKION グループは、米カリフォルニア州サンノゼで開催中のGTC 2026において、物理AIを実際の倉庫運用に持ち込んだ「ライトハウスプロジェクト」の最新成果を発表した。シミュレーション段階から実現場への移行を果たし、労働力不足と運用効率向上という物流業界の喫緊課題にAI搭載自動搬送機器とAIカメラで実測可能な価値を提供する具体例を示した。
同社はエヌビディア(NVIDIA)、アクセンチュア(Accenture)との戦略的連携をさらに深化させ、オムニバース(Omniverse)プラットフォームとMEGAシミュレーションエンジン、アクセンチュアが開発した物理AIデジタルツイン・アーキテクチャを活用。顧客倉庫のデジタルツインを構築し、物理導入前の仮想コミッショニングと安全シナリオ検証を可能にしている。これにより、変動条件下でのテストが現実的になり、倉庫内自動化の信頼性が飛躍的に向上した。
KION グループのロブ・スミス(Rob Smith)CEOは「顧客は深刻な人手不足に直面し、運用効率の大幅向上を求めている。当社はインテリジェント自動移動ロボットとAIカメラでこの課題を解決する。GXOパイロットは、物理AIが顧客に明確な実益をもたらす重要な一歩だ」と強調した。
フランスGXO倉庫で初のAI支援自律産業用トラックを運用開始
最大の目玉は、世界最大の純粋プレイ契約物流プロバイダーであるジーエックスオー・ロジスティクス(GXO Logistics)のフランス・エピノイ(Épinoy)倉庫に展開された「AI支援自律産業用トラック」だ。同倉庫は現在200台超のマニュアルトラックを運用しており、キオンはこの現場を物理AIの実証パイロットに選定した。
倉庫全体を空間スキャナーでマッピングし、デジタルツイン化。導入後は天井カメラと車載カメラによるAIパレット検知を基に、指定ドロップ位置への完全エンドツーエンド自動輸送を実現している。最大の特徴は、倉庫作業員や手動フォークリフトと共存しながら、人間介入なしで稼働する点にある。ジーエックスオー・ロジスティクスのパトリック・ケレハー(Patrick Kelleher)CEOは「先進AIを実運用価値に変える取り組みの一環として、このパイロットはサプライチェーンの未来を切り開く」と評価した。
エヌビディアと共同でAI人間検知の機能安全認証を取得へ
もう一つのコア技術が、自動トレーラーローディング向けの「AIベース人間検知機能安全ソリューション」だ。エヌビディアのHalos基礎モデルを基盤に、倉庫特化データでファインチューニングを行い、人間と産業用トラックの検知・位置特定を高精度化。定置カメラ+エヌビディアエッジAIプラットフォームで構成され、2025年10月のシーマット上海(CeMAT Shanghai)でデモ展示された自動トレーラーローディング用途に適用される。実倉庫でのProof of Conceptは年内実施予定で、機能安全認証取得に向けた取り組みが加速している。
合成データとエッジケースシミュレーションで安全性を強化
安全クリティカルなAIモデル訓練では、発生確率の極めて低い「ロングテール事象」への対応が鍵となる。KION グループは仮想倉庫環境内で合成訓練データを大量生成し、現実運用を乱すことなく稀少シナリオを徹底検証。この手法により、物理AIの信頼性がさらに高められている。
■会社概要
KION グループは産業用トラック、倉庫自動化、AIソリューション、ソフトウェアを一体化したサプライチェーン総合ソリューションを提供。2024年基準でEMEA(欧州・中東・アフリカ)地域最大の産業用トラックメーカーであり、中国市場でも海外メーカー首位、倉庫自動化では世界トップシェアを誇る。2025年末時点で世界6大陸に200万台超の車両を稼働させ、従業員4万2000人、売上高約113億ユーロを記録している。
GTC 2026での実機デモンストレーションは、物流・機械業界に「物理AIがもはや未来技術ではなく、現実の生産性向上ツールである」ことを鮮明に示した。今後、キオンはさらに多くの顧客現場での展開を加速し、倉庫自動化の新スタンダードを確立する構えだ。
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