ヤンマーCE(Yanmar Compact Equipment):2026年3月16日
ヤンマーCEは3月16日、米ラスベガスで開催された建機展示会「コネクスポ(CONEXPO)」において、北米事業の新戦略「ワン・ヤンマー(One Yanmar)」を発表した。製品ポートフォリオの統合と地域生産体制の強化により、コンパクト建機事業の競争力向上と顧客価値の最大化を図る。
同社北米社長のアンナ・クリスティン・スグロ(Anna Christine Sgro)氏は会場で、ディーラーや業界関係者に対し北米戦略の方向性を説明。「ワン・ヤンマー」はコンパクト建機の製品群を統合し、長期的な顧客価値に軸足を置く戦略と位置付ける。
建機市場は回復基調にあるものの、顧客の投資判断は慎重化し、レンタル市場の再編による購買力の集中や利益率の圧迫など、従来とは異なる環境にある。このため同氏は、「信頼性、稼働率、ライフサイクルコストの予見性が重要」とし、「信頼性は単なる機能ではなく戦略の基盤」と強調した。
■エンジニアリング主導の成長基盤
1912年に大阪で創業したヤンマー(Yanmar)は、1933年に世界初の実用的小型ディーゼルエンジンを開発。その後も履帯式キャリアやゴムクローラ式油圧ショベル、後方超小旋回技術などを市場投入してきた。現在はミニショベル分野で世界的な地位を確立し、日本国内では30%超のシェアを持つ。
スグロ氏は「ショベルで培ったエンジニアリングの規律が、すべての製品カテゴリーに生きている」と述べた。
■北米でのCTL事業を強化
戦略の中核となるのがコンパクトトラックローダ(CTL)の強化である。同社は2019年にアメリカのASV(ASV)を買収。特許技術であるポジトラック(Posi-Track®)足回りは、軟弱地盤での高い走破性と浮力性能を特徴とする。
ミネソタ州グランドラピッズの開発・生産拠点にはこれまでに3,200万ドル以上を投資。さらに今後5年間で3,000万ドルの追加投資を計画し、生産能力と開発機能の拡充を進める。
■製品ポートフォリオを統合
「ワン・ヤンマー」戦略では、ASVとヤンマーのコンパクト機器を統合し、単一ブランドで展開する。ミニショベル、CTL、ホイールローダ、履帯キャリアまでを含む一体的なラインアップを構築する。
CTLでは、同一ポートフォリオ内で2種類の足回りを提供。泥・砂・雪地向けにはASVのポジトラック、舗装路など硬質地盤向けにはスチール内蔵クローラを採用した機種を用意し、用途別の最適選択を可能にする。
展示会では「TL25RP」「TL50RP」などの試作機を公開。2026年以降、段階的に市場投入する計画だ。同氏は「ワン・ヤンマーは単なるスローガンではなく、製品体系と市場戦略を明確化するもの」と説明した。
■コネクテッド化を加速
同社はテレマティクス企業ジオフォース(GeoForce)との提携も発表。クラウドベースの新プラットフォームにより、車両管理や稼働状況の可視化を強化する。
すでに世界で10万台以上のヤンマー機にテレマティクス機能が搭載されており、保守や資産管理の高度化に寄与している。建機のライフサイクル全体でのデータ活用は、今後さらに重要性が高まる見通しだ。
■北米事業の次章へ
今回の発表は、グローバルな技術基盤、地域生産の拡充、製品統合、デジタル化を柱とする北米事業の進化を示すものとなる。
スグロ氏は「北米のコンパクト建機市場は新たな段階に入る。ワン・ヤンマーがその成長を牽引する」と述べ、今後の展開に意欲を示した。
■ ヤンマーCE(Yanmar Compact Equipment)の概要
ヤンマーコンパクトイクイップメントは、建設・土工分野向けコンパクト建機の設計・製造・サービスを手掛けるグローバル企業。ミニ・ミディショベル、ホイールローダ、CTL、履帯キャリアなど幅広い製品を展開し、アジア・欧州・北米に生産拠点を持つ。革新的な製品開発で知られ、後方超小旋回型ショベルの普及などで市場をリードしてきた。
■ヤンマー(Yanmar)の概要
1912年創業。1933年に世界初の実用的小型ディーゼルエンジンを開発。現在はエンジン、農業機械、建設機械、エネルギー、マリン、工作機械など多分野で事業を展開し、持続可能な社会の実現に向けたソリューションを提供している。
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