中国の工作機械業界、2025年は増収増益、輸出拡大が牽引

中国工作機械工業協会(中国机床工具工业协会 ):2026年3月2日

中国工作機械・工具工業協会が2026年3月2日に公表した「2025年度工作機械・工具業界経済運行報告」によると、2025年の同業界は連続2年間の減速局面を脱し、全体として回復基調に転じた。営業収入は前年比1.6%増の1兆571億円を達成し、利益総額は同58.6%増の421億円、平均利益率は4.0%(前年比+1.4ポイント)と大幅改善した。特に工作機械分野が牽引役となり、輸出の伸びが業界全体の成長を支える構図が鮮明になった。

■営業収入・利益面で回復基調鮮明に

業界全体の営業収入は政策効果と新規需要の後押しを受け、1兆571億円(前年比1.6%増)とプラス成長に復帰した。切削工作機械分野は10.8%増、成形工作機械分野は9.6%増と、いずれも二桁近い伸びを示した。一方、研磨材・研磨具分野は依然としてマイナス圏にあるものの、減少幅は大幅に縮小し、業界全体へのマイナス影響は軽減された。

利益面ではより顕著な回復が見られた。利益総額421億円(前年比58.6%増)は大幅増益で、平均利益率4.0%は1.4ポイント改善。特に切削工作機械分野の利益率は7.3%、成形工作機械分野は5.6%に達し、過去比較でも良好な水準に回復した。背景には、伝統製造業の高度化シフトに加え、人型ロボット、航空宇宙、新エネルギー車(NEV)、AI算力などの新興分野で高精度・自動化・複合加工機への需要が急拡大したことがある。これにより、五軸加工機をはじめとする高付加価値製品の比率が上昇し、業界の収益構造が改善された。

■工作機械が成長の主軸、輸出が急伸

工作機械分野は2025年の業界回復をリードした。生産額は2,198億円(前年比6.9%増)、消費額は1,892億円(同1.6%増)と、生産が消費を上回る伸びを示した。生産額の伸びが消費額を5.3ポイント上回った背景には、輸出シフトの加速がある。

工作機械の輸出額は96.8億ドル(前年比17.9%増)と大幅増となり、業界全体の輸出貢献度を高めた。輸出先ではベトナム、インド、タイなど東南アジア諸国へのシフトが顕著で、米国・ロシア向けは減少したものの、全体として市場多角化が進んだ。輸出製品でも、加工センター、特種加工機、歯車加工機、機能部品などの技術集約型製品が急伸し、国際競争力の強化がうかがえる。

一方、輸入額は53.9億ドル(前年比1.7%減)と小幅減となったが、減少幅は前年から8.2ポイント縮小。日本・シンガポールからの輸入が大きく伸びた一方、ドイツ・台湾・スイスからは減少した。

■生産・受注動向に明暗、2026年は小幅成長見通し

切削工作機械の生産量は86.8万台(前年比9.7%増)、成形工作機械は17.9万台(同7.2%増)と堅調に推移したものの、増勢は前年からやや鈍化した。受注面では新規受注が7.9%増と拡大した一方、在庫受注は2.5%増にとどまり、特に成形工作機械の在庫受注は7.4%減とマイナスに転じた。国内需要の回復が輸出ほど力強くないことを示唆している。

2026年の見通しについては、同協会は「小幅成長」と予測。国際環境の不確実性、地政学リスク、国内の一部ユーザー分野の需要低迷が課題として残る一方、「第十五次5カ年計画」の開始による工作機械分野の国家重点支援、「両新」「両重」政策の継続、新興分野の拡大、国際市場の開拓などがプラス要因になるとしている。構造的分化がさらに進む見込みで、高端・智能化製品と輸出依存度の高い企業が優位に立つ可能性が高い。

業界関係者は、2025年の回復を「底打ちから本格回復への転換点」と位置づけ、2026年以降も政策・需要・技術の三本柱で持続的成長を目指す姿勢を強めている。

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