マニトウグループ(Manitou Group):2026年3月11日
仏マニトウグループ(Manitou Group)が発表した2025年12月期の連結売上高は前期比3.4%減の25億6,400万ユーロとなった。為替・範囲一定ベースでは2.3%減となった。機器受注高は21億8,100万ユーロと前期比106.5%増と大きく伸長し、期末受注残高も11億2,100万ユーロと3.4%増加した。営業利益に相当する経常営業利益は1億4,300万ユーロで売上高比5.6%(前期1億9,900万ユーロ、同7.5%)と減益となり、IFRS16影響を除くEBITDAは2億ユーロ(前期2億6,200万ユーロ)にとどまった。親会社株主に帰属する当期純利益は6,800万ユーロと、前期の1億2,200万ユーロから約44%減少した。
同社は、市場全体が減速し不透明感が強まるなかでも、全地域でシェアを拡大し、売上高の落ち込みを3.4%減に抑えたとしている。一方で、数量減少に加え、価格競争の激化や米国向け関税引き上げの期末影響が収益性を圧迫したが、生産性向上や固定費の抑制で一部相殺した。
■財務体質と電動化の進展
2025年末のネット有利子負債は2億1,200万ユーロと前期比42.7%削減され、ネットD/Eレシオ(ギアリング)は21.8%、レバレッジは1.0まで低下した。在庫圧縮など運転資本の改善が奏功し、財務基盤の強化が進んだとしている。また、電動機の販売比率は2025年に14.7%へ上昇し、前年の13.8%から拡大した。
同社は建設向け初の100%電動テレハンドラ「MT 625e(エムティー・625e)」を市場投入しており、バッテリーには2023年に完全子会社化したイージーリ(easyLi<イージーリ/easyLi>)製の自社開発電池を採用している。
■事業別動向
プロダクトディビジョン(Product division)の売上高は21億4,400万ユーロと前期比4.6%減(為替・範囲一定ベース3.4%減)となった。欧州を中心に第4四半期は持ち直したものの、大手レンタル会社など一部大口顧客の様子見姿勢や、米国市場での関税引き上げと為替差損(売上への影響▲1.2ポイント)が響いた。高所作業車など多くの製品群が苦戦した一方、スキッドステア・トラックローダなどは堅調だったとしている。同ディビジョンの粗利益は3億4,700万ユーロと前期比11.9%減少し、粗利率も1.3ポイント低下した。原材料価格の低下や生産効率の改善では、激しい価格競争環境による販売価格下落を吸収しきれなかった。研究開発費は電動化やカーボンフットプリント低減に向けて5百万ユーロ増額され、販売・管理・サービス費用も賃金インフレや減価償却費増加で増加した結果、同ディビジョンの経常営業利益は1億1,100万ユーロ(売上高比5.9%、前期1億7,700万ユーロ)にとどまった。
サービス&ソリューションディビジョン(S&S division)の売上高は4億2,000万ユーロと前期比2.8%増(為替・範囲一定ベース4.0%増)を確保した。スペアパーツやアタッチメント、サービスメニュー、中古機販売が堅調で、特に南欧、APAM(アジア・太平洋・アフリカ・中東)、アメリカ地域が成長をけん引し、北欧の小幅減少を補った。粗利益は1億500万ユーロとわずかに減少し、粗利率は1ポイント低下したが、同ディビジョンは販売・管理・サービス費用を0.1%削減するなど、コスト管理を徹底し、経常営業利益は1,700万ユーロ(売上高比3.9%、前期1,800万ユーロ)と高いレジリエンスを示した。
■新中期戦略「LIFT」と組織再編
マニトウグループ(Manitou Group)は、2025年4月に新たな中期戦略ロードマップ「LIFT(リフト/LIFT)」を公表し、2030年に向けた事業変革を本格始動した。
「LIFT」は、ハンドリングおよび高所作業車分野でのリーダーシップ強化、責任あるイノベーション、顧客体験重視、将来に向けた組織・競争力強化の4つの柱で構成される。2030年の数値目標として、売上高38億ユーロ超、売上高営業利益率7.5%超、EBITDAマージン10%超、電動機比率28%、5年間で6億ユーロの設備投資を掲げる。こうした目標達成と市場・顧客ニーズへの対応力向上を図るため、従来のプロダクトディビジョンとS&Sディビジョンの2本部制から、北米、欧州、LAPAM(ラテンアメリカ・アジア太平洋・アフリカ・中東)の3地域本部制へ移行した。
各地域が収益およびオペレーションの責任を持つ体制で、2026年1月1日から新組織が稼働している。経営体制の再構築に向け、2025年11月にはエグゼクティブ・コミッティー(Executive Committee)の新体制を発表した。
地域プレジデントとして、ブラッド・ベーラー(Brad Boehler)北米プレジデント、ジャン・ルオー(Jean Rouault)欧州流通プレジデント、スティーブ・ライダー(Steve Ryder)LAPAMプレジデントを任命した。
加えて、モーリツィオ・アキリ(Maurizio Achilli)調達担当、エリザベス・オジムール(Elisabeth Ausimour)イノベーション&テクノロジー担当、コリーヌ・ル・ギャデール(Corinne Le Guyader)コマーシャルエクセレンス&サービス担当、ピエール・ペノー(Pierre Paineau)製造・生産担当の各グローバル部門責任者を配置した。
コーポレート機能としては、セリーヌ・ブラール(Céline Brard)最高財務責任者、クリスティーヌ・プラ(Christine Prat)人事責任者、エルベ・ロシェ(Hervé Rochet)トランスフォーメーション&ガバナンス責任者が継続して担う。
現CEOのミシェル・ドニ(Michel Denis)氏の任期は2026年6月11日に満了予定で、後任選任に向けたプロセスも進められている。
■ロボティクスとバッテリー事業の強化
マニトウグループは、長年のパートナーであるフランスのシティア(Sitia)からロボティクス事業を買収し、新たに「マニトウ・グループ・ロボティクス部門(Manitou Group Robotics」を設立する計画。博士号取得者を含む7名のロボット開発専門チームが研究開発部門に参画し、自律型農業トラクタ「トレクター(TREKTOR)」の開発で培った知見など、知的財産も取得する。
同社はロボティクスを重要なイノベーション軸と位置付け、農業・セミインダストリアル分野向けの高付加価値ソリューション開発を加速させる考え。さらに、2025年7月には中国の杭叉集団(ハングチャ/Hangcha Group)との合弁会社設立に合意し、2026年1月にはフランス・ルマン(Le Mans)に産業車両向けリチウムイオンバッテリーの製造・販売を手掛ける新会社を設立した。
マニトウグループは49%を保有する少数株主として参画し、鉛バッテリーからリチウムイオンへの転換を通じて、自社製品群の電動化戦略「LIFT」を下支えする。
■CSRロードマップとガイダンス
同社は「LIFT」と一体となった2030年CSRロードマップ「CSRレンズ(CSR Lens)」を策定し、人材、多様な資源の循環利用、気候変動対応、信頼と協働の4領域でサステナビリティを経営の中核に据える方針を示した。
労働災害頻度(FR2)10以下、スコープ1・2のCO2排出量1万5,047トン、スコープ3で稼働1時間あたり13.7kgのCO2排出、サステナブル製品・サービス売上5.5倍、責任あるバリューチェーンへのコミット比率90%など18の指標で進捗をモニタリングする。
一方で、直近発生した地政学的紛争の影響が読めないことから、2026年通期の業績ガイダンス開示は見送られた。取締役会は、2026年6月11日開催予定の株主総会において、1株当たり0.75ユーロの配当支払いを提案する方針である。
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