三菱ロジスネクスト(京都府長岡京市)は3月11日、LVJホールディングス2株式会社を主体とする日本産業パートナーズ(JIP)系ファンドによる公開買付けに続く一連の非公開化スキームの一環として、普通株式の大規模な株式併合と単元株制度の廃止、定款一部変更を行う方針を公表した。
今回の決議は同日開催の取締役会で行われ、4月9日開催予定の臨時株主総会に付議される。 併合比率は22,962,727株を1株とするもので、自己株式の消却後の発行済株式1億6948万230株を4株にまで集約し、株主構成を事実上三菱重工業株式会社1社に絞り込む内容となる。 併合の効力発生日は4月30日を予定している。
株式併合の過程で、同社株は東京証券取引所スタンダード市場の上場廃止基準に該当することから、4月9日付で整理銘柄に指定され、4月27日に上場廃止となる見通しである。 4月24日が同社株の最終売買日となり、以降は市場での売買ができなくなる。
今回のスキームは、2026年1月20日に公表されたJIP系ファンドによる公開買付けと、それに続く二段階買収の後段に位置付けられる。 公開買付けは1月21日から2月18日まで実施され、決済開始日である2月26日時点で公開買付者は議決権18万893個(議決権所有割合16.91%)を取得した。 一方、親会社の三菱重工は同日時点で議決権の64.41%に相当する6888万8181株を引き続き保有しており、これら三菱重工保有株式は公開買付けには応募していない。
公開買付け後も、一般株主が保有する株式の一部が市場に残存していることから、公開買付者は同社株式を完全取得するための二段階目の措置として、株式併合によるスクイーズアウトを要請。 同社取締役会は、三菱重工以外の株主が保有する株式の全てが1株未満の端数となる水準に併合比率を設定し、その端数に相当する株式を公開買付者に売却する枠組みを採用した。
1株未満の端数については、その合計数(合計で1株に満たない端数は切り捨て)に相当する株式を会社法第235条に基づき売却し、その売却代金を各株主に按分交付する。 同社は、当該売却先として裁判所の許可を得たうえで公開買付者を指名する予定で、売却価格は「株主名簿最終確定日(4月29日)に記載された各株主が保有する株数 × 公開買付価格と同額の1,537円」に相当する金額を交付できる水準に設定するとしている。 裁判所の許可が得られない場合や計算上の端数調整が必要な場合には、実際の交付額が変動する可能性もある。
同社は、端数処理により交付される金額の水準について、「DCF法や類似会社比較法に基づく第三者算定機関による株式価値算定レンジの範囲内であり、本源的価値を相応に反映した妥当な水準」と説明。 2024年12月5日時点の終値1,135円に対して35.42%、直近1カ月の終値平均1,228円に対して25.16%など、一定のプレミアムを考慮した水準としている。
三菱ロジスネクストは、フォークリフトや物流システムを手がける総合物流機器メーカーで、1937年に日本輸送機として設立された老舗メーカー。 三菱重工のフォークリフト事業、TCM、日産フォークリフトなど前身4社の統合を経て現在の体制を築き、2023年時点の売上高規模で世界第5位のフォークリフトメーカーに位置付けられている。
同社は長期経営ビジョン「2035」と中期計画「Logisnext Transform 2026」のもと、「安心・安全」「自動化・自律化」「脱炭素」をキーワードに、フォークリフト事業と物流ソリューション事業の拡大を掲げている。 一方、親会社の三菱重工は事業ポートフォリオ変革の一環として同社株式の売却と資本関係見直しを志向しており、これを受けて2024年以降、複数候補への入札プロセスが実施されてきた経緯がある。
JIPは、国内企業のカーブアウトや非公開化案件を多数手がけてきた投資ファンドで、今回の非公開化後は、フォークリフト事業のバリューチェーン全体での収益最大化、既存事業の収益力改善、物流ソリューション領域の強化を支援する方針。 同社は「上場維持による短期的な利益志向から脱し、中長期的な事業成長と企業価値最大化を図るうえで、非公開化による機動的な意思決定環境が有効」と位置付けている。
なお、上場廃止後は資本市場からの直接調達機会は失われるものの、同社は金融機関からの借入により必要資金を確保できるとし、「既に確立したブランド力や取引実績を踏まえると、非公開化に伴う信用力・認知度の低下などのデメリットは限定的」との見解を示している。 一般株主に対しては、公開買付け応募と端数処理による金銭交付の二つの機会を通じて、一定の経済的合理性を持つイグジット手段を提供したと強調している。