ハイスター・エール、2025年通期と第4四半期決算、関税負担響き最終赤字転落

ハイスター・エール(Hyster-Yale, Inc.):2026年3月3日

米フォークリフト大手のハイスター・エールは3月3日、2025年12月期(2025年)通期および第4四半期決算を発表した。

■2025年通期決算の概要

2025年通期の連結売上高は37億7,000万ドルと、前年の43億800万ドルから13%減少した。 事業再編費用などを含む営業損益は2,200万ドルの赤字(前年は2億4,480万ドルの黒字)に転落し、税引前利益も4,290万ドルの赤字(同2億1,900万ドルの黒字)となった。 親会社株主に帰属する最終損益は6,010万ドルの赤字(同1億4,230万ドルの黒字)で、1株当たり利益(EPS)はマイナス3.40ドルと、前年の8.04ドルから大きく悪化した。 一方、再編関連費用を除いた調整後営業利益は1,630万ドル(前年2億6,740万ドル)、調整後純損益は3,170万ドルの赤字(同1億5,900万ドルの黒字)、調整後EPSはマイナス1.79ドル(同8.98ドル)だった。

ハイスターエール2025年データ

■第4四半期の業績と需要動向

2025年10〜12月期の第4四半期は、売上高が9億2,320万ドルと前年同期比14%減少し、営業損益は3,720万ドルの赤字(前年同期3,230万ドルの黒字)に転落した。 税引前損益は4,190万ドルの赤字(同2,400万ドルの黒字)、最終損益は5,250万ドルの赤字(同1,030万ドルの黒字)となり、EPSも前年同期の0.58ドルからマイナス2.96ドルへと大きく落ち込んだ。

業績悪化の主因は、世界的な需要減速と米国の関税負担である。 同社は、リフトトラック(フォークリフト)事業を中心に出荷台数が全製品ラインで減少したとし、特に高付加価値のカウンターバランス型トラックで落ち込みが目立ったと説明している。 顧客企業が設備投資に慎重姿勢を強め、稼働率低下やキャッシュ確保を優先したことで、更新需要が先送りされた格好だ。 さらに、米政府による対中関税などの影響で、同社は第4四半期だけで約4,000万ドル、通期では約1億ドルの関税コストを負担したとし、売上高と営業利益の双方に大きな逆風となった。

一方、第4四半期の受注動向は明るい兆しもみせた。受注高(販売額ベース)は5億4,000万ドルと、前年同期の4億ドルから35%増、前四半期の3億8,000万ドルからも42%増と大きく伸長し、とりわけ米州での回復が顕著だった。 同社はこうした動きを踏まえ、「2026年下期にかけて出荷と需要が徐々に回復に向かう可能性がある」としている。

■セグメント別・地域別の動向

主力のリフトトラック事業の2025年通期売上高は35億6,930万ドルと、前年の41億1,470万ドルから減収となった。

地域別内訳は、米州が28億1,590万ドル(前年32億2,340万ドル)、欧州・中東・アフリカ(EMEA)が5億6,990万ドル(同7億760万ドル)、アジア太平洋を含むJAPICが1億8,350万ドル(同1億8,370万ドル)だった。 同事業の通期営業損益は2,410万ドルの赤字(前年2億3,570万ドルの黒字)と悪化し、特にEMEAとJAPICは赤字が続いた。

2025年10〜12月期のリフトトラック事業売上高は8億7,140万ドルと、前年同期比15%減少した。

地域別では、米州が6億7,680万ドル(同8億50万ドル)、EMEAが1億5,330万ドル(同1億7,540万ドル)、JAPICが4,130万ドル(同4,600万ドル)で、いずれの地域も2桁減収となった。

四半期営業損益は3,350万ドルの赤字(前年同期3,700万ドルの黒字)となり、米州は700万ドルの赤字(同6,350万ドルの黒字)、EMEAは1,940万ドルの赤字(同1,180万ドルの赤字から赤字拡大)、JAPICは710万ドルの赤字(同1,470万ドルの赤字)となった。 関税負担と出荷減少により、粗利益率と事業採算が大きく圧迫された形だ。

一方、アタッチメント事業を展開するボルゾーニ(Bolzoni)の2025年通期売上高は3億3,310万ドルと、前年の3億7,910万ドルから減少したものの、粗利益は7,940万ドルとほぼ横ばいを確保した。 通期営業利益は30万ドルのわずかな黒字(前年910万ドルの黒字)にとどまり、第4四半期も売上高7,520万ドル(前年同期8,290万ドル)、営業損益480万ドルの赤字(同440万ドルの赤字)と厳しい状況が続いた。 米州のフォークリフト需要軟化に伴うコンポーネント需要減少やユーロ高、人件費増などが収益を圧迫したとしている。

■財務体質とコスト削減策

財務面では、在庫圧縮を中心とした運転資本の改善が進んだ。第4四半期の営業キャッシュフローは5,650万ドルと前四半期から大きく増加し、在庫水準は為替と関税の影響を除き前年比1億8,500万ドル、前四半期比1億500万ドル減少した。 2025年末時点の有利子負債は4億9,430万ドル、現金は1億2,320万ドルで、ネット有利子負債は3億7,110万ドルとなった。 一方、利益水準の低下により、ネットデット/調整後EBITDA倍率は5.3倍と前年の1.1倍から大きく悪化している。

同社はコスト構造の抜本的な見直しにも踏み込んでいる。2025年に実施した燃料電池子会社ヌヴェラ(Nuvera)の事業再編で1,500万ドルのコスト削減効果を得たほか、2025年第4四半期に開始した構造改革プログラムにより、2026年から年間4,000万〜4,500万ドル規模の固定費削減を見込む。 さらに、生産拠点の再編を含む中長期の製造拠点最適化プロジェクトでは、2027年に2,000万〜3,000万ドル、2028年以降は年間3,000万〜4,000万ドルの利益押し上げ効果を目指しており、2028年までに累計で年8,500万〜1億ドル規模の恒常的コスト削減を見込んでいる。

■2026年の見通し

2026年の業績見通しについて、同社は通期で「中程度の営業黒字」を見込むとし、上期は出荷減少の影響で小幅な赤字、下期は需要回復と出荷増により大幅な増収・黒字転換を想定している。 関税負担については、第4四半期と同程度の水準が続くとの前提を置きつつ、価格改定や調達見直し、生産効率化などにより、その一部を吸収する計画だ。 もっとも、米国の対中関税政策や鉄鋼関税、各種貿易規制を巡る不透明感は依然大きく、関税が需要や採算に与える悪影響は2026年も続くとの認識を示した。

■会社概要

ハイスター・エールは、世界各地で「Hyster」「Yale」「Nuvera」「Maximal」などのブランド名でフォークリフトや関連部品、エネルギーソリューションを展開するマテリアルハンドリング機器メーカーで、本社は米オハイオ州クリーブランドに置く。 100%子会社のHyster‑Yale Materials Handling, Inc.がリフトトラック事業とエネルギー関連技術を手掛け、イタリア子会社Bolzoni S.p.A.は「Bolzoni」「Auramo」「Meyer」の各ブランドでフォークリフト用アタッチメントやフォーク、リフトテーブルなどを製造・販売している。 日本では住友ナコフォークリフトとの合弁事業を通じて販売網を展開しており、世界各地の物流・港湾・倉庫などで幅広く採用されている。 

ニュースリリース

レポート

プレゼン資料