信越化学工業(東京都千代田区)は3月5日、米国子会社シンテック社(Shintech)が米ルイジアナ州プラケマインの工業用地で、塩化ビニル樹脂(PVC)の原料から一貫生産する体制を強化するため、総額34億ドル(約5,100億円規模)の設備投資を行うと発表した。エチレン工場と電解・塩化ビニルモノマー(VCM)工場を新設し、2030年末までの完工を予定する。
今回の投資では、塩ビの主原料であるエチレンを生産する第2エチレン工場と、電解・VCM第4工場を建設する。これにより、原料の自給体制をさらに強化し、塩ビの安定供給とコスト競争力の向上を図る。増強される生産能力は、エチレンが年62万5,000トン、塩化ビニルモノマーが年50万トン、苛性ソーダが年31万トン。
塩ビは配管や建材などインフラ分野で広く使用されるほか、耐久性やリサイクル性などの面で環境負荷の低い素材として需要拡大が続いている。今後5年間の世界需要は年平均75万トン以上の増加が見込まれている。また苛性ソーダは、紙・化学・繊維など幅広い用途に加え、蓄電池や重要鉱物の製造など新たな用途でも需要が拡大しており、今後5年間の世界需要は年平均130万トン以上の増加が見込まれる。
シンテックは世界最大級の塩ビ生産能力を有し、原料調達面でも競争優位性を持つ。米国内における大規模一貫拠点を基盤に、北米のみならず世界市場への供給力を高めるとともに、顧客との関係強化を図る方針だ。
同社は米国で厳格化する環境規制に対応するため、業界最先端の設備・技術を導入しているほか、州政府や地元自治体と良好な関係を築いており、地域社会からの支持も得ている。こうした取り組みにより、プラケマイン拠点は塩ビと苛性ソーダの世界的な供給拠点として位置付けられている。
■プロジェクト概要
所在地:米国ルイジアナ州プラケマイン
事業主体:シンテック社(Shintech)
投資額:34億ドル
主な設備:第2エチレン工場、第4電解・塩化ビニルモノマー工場
増強能力:エチレン62万5,000トン/年、VCM50万トン/年、苛性ソーダ31万トン/年
完工予定:2030年末予定