ダンフォス、2025年売上は有機成長率3%増の94億ユーロ(約1兆7,200億円)

・キャッシュフローが過去最高水準を記録、LEAP 2030戦略の着実な推進で収益力が向上

ダンフォス(Danfoss A/S) :2026年3月3日

デンマークの産業機器・エネルギーソリューション大手ダンフォスは3月3日、2025年度(1〜12月期)の連結決算を発表した。売上高は有機成長率3%増の94億ユーロ(約1兆7,200億円、183円換算)となり、フリーキャッシュフローは前年比57%増の7億3,400万ユーロと過去最高を更新した。新たな中期経営戦略「LEAP 2030」の着実な実行と分権型オペレーションモデルが成果を上げており、下半期には9%という力強い成長を実現した。

ダンフォス2025年データ

■ 主要財務指標

項目 :2025年度 / 2024年度
売上高:94億3,000万ユーロ / 94億9,600万ユーロ
有機成長率 :+3%(前半▲3%、後半+9%) / —
営業EBITA :12億1,300万ユーロ / 11億8,500万ユーロ
営業EBITAマージン :12.9%(+0.4%ポイント) / 12.5%
研究開発費(R&D) :5億300万ユーロ(売上高比5.3%) / 4億7,600万ユーロ(同5.0%)
フリーキャッシュフロー :7億3,400万ユーロ(+57%) / 4億6,700万ユーロ
純利益 :4億4,600万ユーロ(+21%) / 3億7,000万ユーロ
設備投資(CapEx) :/ 3億4,200万ユーロ(売上高比3.6%) / 3億6,200万ユーロ
スコープ1・2 CO₂排出量 :前年比33%削減 / —

■ 業績概況

ダンフォスは2025年通期で四半期ごとに業績改善を果たし、フリーキャッシュフローが過去最高となる7億3,400万ユーロを計上した。売上高は94億3,000万ユーロと、為替(主に米ドル安、▲3%の影響)の逆風を受けつつも有機成長率では3%の増収を確保した。同社の地域分散型製造体制が奏功し、EBITAマージンへの影響は限定的にとどまった。

地域別では、中国市場が13%増と牽引したアジア事業が通年で改善を続けた。欧州は引き続き回復の動きが鈍く、前年比2%減で着地。北米ではダンフォス・クライメートソリューションズがデータセンター向け需要の急拡大を背景に26%の高成長を達成した。一方、ダンフォス・パワーソリューションズは北米でデータセンター関連の強い需要があったものの、農業市場の落ち込みが相殺し、全体では2%のマイナス成長となった。

キム・ファウジング(Kim Fausing)社長兼CEOは「変動の激しい環境のなか、グローバルチームが規律ある事業運営を貫いた結果として過去最高のキャッシュフローを達成できたことを誇りに思う。強固なバランスシートと豊富なキャッシュを背景に、有機成長とM&Aの両面で事業投資を継続する最良の立場にある。世界的なメガトレンドはダンフォスにとって大きな機会を生み出し続けており、2026年の事業展開に自信と活力を持って臨む」とコメントした。

■ セグメント別動向

<クライメートソリューションズ(Climate Solutions)>
省エネ・電化ニーズおよびデータセンター向け冷却需要に支えられ、堅調かつ安定した業績を確保した。
北米ではデータセンター向けを主因に26%の有機成長を達成し、全セグメント中最大の成長率を記録した。

<パワーエレクトロニクス・ドライブズ(Power Electronics and Drives)>
インバータ(ドライブズ)事業が牽引役となり、堅実な業績を維持した。各種産業向けのエネルギー効率化ニーズの高まりを背景に、安定した需要を獲得している。なお、自動車電動化(オートモーティブ・エレクトリフィケーション)事業については、最適な事業承継先を探索するプロセスに入り、財務諸表上では「非継続事業」に分類している。

<パワーソリューションズ(Power Solutions)>
農業機械市場の低迷という逆風を受けたものの、下半期にはデータセンター向けを中心に成長軌道へ回帰した。2025年にはホースフィッティング(油圧継手)メーカーのHydro Holdingを買収し、モバイル・産業用油圧およびデータセンター向け流体搬送分野でのリーダーシップをさらに強化した。

・信頼を築き、成果を生み出す:パートナーシップの力
【課題】モバイル機械業界の世界的リーダー企業は、既存のスキッドステアローダープラットフォームを大幅に刷新するという極めて野心的な目標を掲げた。しかも、その期間はわずか12カ月。通常2~4年を要する開発サイクルのごく一部の期間での実現が求められた。成功のためには、単なる部品供給にとどまらず、完全に検証済みのソリューションを提供できる信頼できるシステムパートナーの存在が不可欠であった。

【ソリューション】当社のアプローチの中核にあったのは、透明性と強固な関係構築を通じた信頼の醸成である。12カ月という短期立ち上げ目標に直面する中、当社は顧客企業と緊密に連携し、同社のエンジニアリング、調達、経営チームと直接協働した。並行エンジニアリング体制により、シームレスな協業を実現。試験装置や熟練したアプリケーションエンジニア、高い柔軟性を備えた製品ポートフォリオ、さらにアプリケーション・ディベロップメント・センター(ADC)での実践的な取り組みがこれを支えた。

この協業により、OEMはダンフォス製コンポーネントを車両設計に円滑に統合することが可能となり、従来競合他社が供給していた重要なハイドロスタティック機器およびギアポンプを置き換えた。共同ワークセッションを通じて迅速な試作とリアルタイム検証を実施し、システム要件と最適化された高構成自由度の製品を整合させることで、市場投入までの期間短縮を実現した。

高度なアプリケーション知識を持つエンジニアリングチームが開発プロセス全体を通じて連携し、強力なプロジェクトマネジメントと広範かつ高度にカスタマイズ可能な製品ポートフォリオを活用、さらに専用のADCを活用したことが成功の鍵となった。本アプローチは、顧客との協働パートナーシップが、より迅速かつ効率的な製品立ち上げを通じて大きな付加価値を創出することを示している。

ダンフォス・パワー・ソリューションズは、主要メーカーによるスキッドステアローダープラットフォームの刷新を、通常2~4年かかるところをわずか12カ月で実現する支援を行った。本プロジェクトは、単なる部品供給を超えるパートナーの存在を必要とする、極めて野心的な取り組みであった。

■ データセンター事業が急拡大

2025年のグローバルデータセンター向け売上高は、年間総売上高の約7%にあたる規模にまで成長し、前年比でほぼ倍増を達成した。同社は空冷・液冷の両方式に対応した革新的かつ持続可能な冷却・電力供給技術を提供しており、ハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)、コロケーション事業者、半導体メーカーとのパートナーシップを各地域で拡充している。データセンター向け事業は今後も3つの事業セグメントすべてにわたる最重要成長分野と位置づけている。

■ LEAP 2030戦略と設備投資

新中期戦略「LEAP 2030」の下、研究開発費は売上高比5.3%(5億300万ユーロ)に増加し、革新的・持続可能・競争力のある製品ポートフォリオの拡充を加速している。設備投資(CapEx)は3億4,200万ユーロ(売上高比3.6%)を投じ、南北アメリカ・欧州・アジアの製造拠点を拡充。顧客が自社アプリケーション環境でダンフォスの技術を体験できるADC(アプリケーション開発センター)や試験設備も増強した。

 デジタル基盤の整備も進んでおり、現在は全受注の75%がデジタルチャネルを通じて受付・処理されている。AIを活用した業務効率化・顧客体験向上への展開も加速しており、今後のさらなる生産性向上が見込まれる。

■ カーボンニュートラルへの取り組み

サステナビリティをLEAP 2030戦略の中核に位置づけるダンフォスは、2025年単年でスコープ1・2のCO₂排出量を前年比33%削減した。これにより「2030年までに自社排出量46.2%削減」というSBTi(科学的根拠に基づく目標イニシアティブ)認定の旧目標を予定より5年前倒しで達成した。同社はこれを受けて新たな近期・長期目標を設定し、2050年までのバリューチェーン全体ネットゼロ達成を目指す。EcoVadisおよびCDPにおけるサステナビリティ評価スコアも改善した。

■ 2026年度業績見通し

▽2026年度の業績見通しは以下の通り:

 ・売上高:91億〜106億ユーロの範囲
 ・営業EBITAマージン:12.8〜14.3%の範囲(新製品・ソリューションへの投資継続を前提)
 ・2030年までの自社オペレーション脱炭素化という意欲的目標を継続追求

同社は引き続き市場シェアの維持・拡大を目指し、強固なバランスシートを活用した有機成長とM&Aによる事業拡大の双方に積極的に取り組む方針を示している。グローバルな省エネ・電化・デジタル化というメガトレンドがダンフォスの事業機会を拡大させており、幅広い製品ポートフォリオとグローバルな事業基盤を武器に顧客パートナーシップを一層強化する構えだ。

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