川崎重工、26年4月1日付で大規模組織再編、信頼回復と成長戦略を両立

・品質保証を本社統括化、役員体制刷新でDX・水素・防衛を強化

川崎重工業は2月27日、2026年3月1日および4月1日付で実施する組織改正と役員体制の刷新を発表した。今回の再編は、品質保証機能の抜本強化と組織風土改革を最優先課題に据えるとともに、DX(水素・AI活用)、水素・カーボンニュートラル(CN)、防衛・航空宇宙、ロボットなど成長分野への経営資源集中を鮮明にするもの。「守りのガバナンス強化」と「攻めの事業体制構築」を両輪で進める。

■ 品質保証を本社で一元統括、風土改革と一体推進

本社では、全社横断で品質保証を統括する「品質保証総括部」を新設。傘下に品証技術部、品証統制部を置き、各カンパニーの品質保証機能を監督・指導する体制とした。品質・コンプライアンス課題への対応を全社的に底上げする狙い。あわせて、法務・コンプライアンス本部を「法務本部」に改称し、コンプライアンス機能を人事本部へ移管。人事本部内に「組織風土改革・コンプライアンス総括部」と「リクルーティング部」を新設し、人財開発・採用強化と法令順守体制を一体で推進する。信頼と対話を基盤とした企業風土への転換を加速する。

管理本部は「財務本部」に改称し、経営管理部を管理部、経理企画推進部を業務改革部へ改称。財務戦略と業務改革の連動を明確にした。総務本部では明石・神戸・播磨の3事業所を新設し、拠点別の総務・環境・保安機能を再編・集約する。調達本部には物流部を新設し、SCM機能を強化する。

■ DXと技術開発を再構築、AI活用を加速

DX戦略本部は大幅に再編し、「DX管理部」「AI戦略推進部」「コーポレートデジタル総括部」を新設。データサイエンス機能をAI戦略推進部へ集約するとともに、基幹システムやITインフラを統括管理する体制を整えた。事業部門の情報システム機能も集約し、業務プロセスの標準化とデジタル化を推進する。

技術開発本部では、プロセスエンジニアリングセンターを「製品技術開発センター」に改称。設計技術開発部、製造技術開発部、自動化技術開発部を新設し、開発から生産技術・自動化まで一体で高度化を図る。イノベーションセンターには「ソーシャルロボット開発部」を設置し、サービスロボットの事業化を加速する。

社長直轄プロジェクト本部には「SAFE ADVENTURE事業総括部」を新設。ビジネスオペレーションやプロダクトデザイン、DXアーキテクト機能を束ね、新規事業創出を推進する。

■ 航空宇宙・防衛は技術基盤を再整備

航空宇宙システムカンパニーでは、ヘリコプタ&MROディビジョンを「ヘリコプタディビジョン」に改称し、MRO機能を再編。防衛宇宙ディビジョンには「防衛宇宙技術総括部」を新設し、設計機能を再配置するなど、防衛・宇宙分野の技術基盤を強化する。航空宇宙技術本部には「技術戦略総括部」とエンジニアリングDX部を設置し、開発プロセスの高度化とデジタル化を進める。エンジン生産分野では技術部門を細分化し、専門性を高める体制とした。

■ 水素・CNとマリン事業を実行フェーズへ

エネルギーソリューション&マリンカンパニーでは、水素事業推進室を「水素技術統括室」に改称。水素・CNディビジョンでは水素プロジェクト総括部を再編し、海外・国内プロジェクト部、エンジニアリング部、貯槽技術部、機器技術部などを配置。水素バリューチェーン構築を実行段階へ移す体制とした。舶用推進ディビジョンは「舶用推進企画部」「艦艇システム総括部」「舶用システム総括部」の3機能に再編し、艦艇と商用舶用を明確に区分。船舶海洋ディビジョンには船舶HSE室を新設し、安全・環境対応を強化する。

■ 精密機械・ロボットは電動化・水素対応を加速

精密機械・ロボットカンパニーでは、企画本部の下に精密機械経営企画部とロボット経営企画部を置き、両事業の戦略立案とDXを統括する体制を整えた。精密機械ディビジョンはPMM室の新設や生産企画室のディビジョン直轄化により、事業開発と生産計画の連携を強めるとともに、事業開発総括部には電動化ソリューション開発部や水素システム開発部を置き、新エネルギー対応の油圧機器・システム開発を加速する。

ロボットディビジョンではROBO CROSS推進室やサステナビリティ推進室を新設し、汎用・クリーンロボットを軸とした事業拡大と環境・社会課題対応の両立を図る。営業総括部は自動車営業部、クリーン営業部、グローバル営業部を置く体制に改め、自動車、半導体・クリーン、グローバル汎用といった主要市場ごとに専任営業を配置する。技術総括部には医療設計部を編入し、医療ロボット事業の技術拠点を再整理している。

■ 役員体制も刷新、重点分野の責任明確化

執行役員体制では、副社長2名の分掌を見直し、財務・企画・法務・渉外などのコーポレート機能と、技術・生産・品質保証・調達・DX戦略を明確に区分。航空宇宙システムカンパニーやエネルギーソリューション&マリンカンパニーのプレジデントを専務執行役員とし、事業責任を強化した。

新任執行役員として、監査、財務、人事、水素戦略、防衛宇宙などの各責任者を配置。社長執行役員のもと、副社長、専務、常務、執行役員で構成する体制に再編し、成長投資とリスク管理の両立を図る。

今回の組織・役員刷新は、品質・コンプライアンス問題への対応を経営の最重要課題に位置付けると同時に、水素、AI、防衛、ロボットといった将来成長領域への布石を打つものだ。信頼回復と事業拡大を同時に追求する体制が、2026年度から本格始動する。

※個別の人事異動・詳細は同日付ニュースリリース参照。

役員の異動および業務執行体制の改正について

組織改正および人事異動について(4月1日付)

組織改正および人事異動について(3月1日付)