SWCC、2030年度に向け総額560億円の設備投資計画を策定

・成長3事業に重点配分、インオーガニック投資枠は最大800億円

・電力インフラ・通信(海外)・半導体の成長領域に集中投資 

・ROIC経営2.0で変革加速

SWCC(川崎市川崎区)は2月27日、2030年度を最終年度とする中期経営計画「Transformation for Growth SWCC 2030」を発表した。同計画では、2026年度から2030年度までの5年間累計で560億円の設備投資を計画しており、電力インフラ・通信(海外)・半導体という三つの成長事業を中心に資金を集中投下する方針。さらに、M&Aなどのインオーガニック投資として最大800億円の枠を設定。オーガニック成長とインオーガニック成長の両輪で、2030年度の営業利益400億円以上(インオーガニック除く)を目指す。

■設備投資の全体像:前期比で大幅拡大

前中期経営計画(FY2022〜2025累計)における設備投資実績は253億円だった。今中計では5年間で560億円と、前期対比で2倍超の規模へと引き上げる。投資の内訳は、成長投資180億円、基盤投資200億円、研究投資70億円、DX投資60億円、人的投資その他50億円を見込む。

加えて、5年間の営業キャッシュ・フロー目標として1,500億円を掲げており、資金調達250億円、資産売却50億円を合わせた総キャッシュインは1,800億円を想定。設備投資・インオーガニック投資・株主還元(440億円)に充当する資本配分計画を明示した。

■電力インフラ事業:5年間で100億円投資、SICONEX®増産体制を確立

成長事業の筆頭に位置付けられる電力インフラ事業では、FY2026〜2030の5年間累計で100億円の設備投資を計画する。前中計期間(FY2022〜2025)の累計51億円から約2倍の水準。主力製品である高電圧電力ケーブル用コネクタ「SICONEX®」については、2026年度に第二期設備投資を本格始動させ、増産体制の構築を完了させる計画。FY2023の売上を100とした場合、FY2026で220、FY2030で280へと着実に積み上げる目標を設定した。

国内変電市場でのシェアは、電力発変電向けで2025年度の68%から2030年度90%へ、民需変電向けでは93%から95%へ引き上げることを目指す。市場規模についても自社試算で、2024年度の1,500億円から2030年度には2,440億円への拡大を見込んでおり、同事業の売上高目標はFY2025Eの444億円からFY2030Fの590億円(CAGR5.9%)へと成長させる。ROICはFY2025Eの25%からFY2030Fの28%への改善を見込んでいる。

■通信(海外)事業:生産能力7倍に拡張、e-Ribbon®に集中投資

光ファイバーリボン「e-Ribbon®」を主力とする通信(海外)事業には、5年間で累計30億円の設備投資を実施する。前中計(FY2022〜2025)の6億円から5倍規模への急拡大となる。
世界的な生成AI市場の拡大に伴い、ハイパースケールデータセンター(HSDC)向けの高密度配線需要が急増しており、グローバルメーカー複数社との長期契約締結と国内外の増産投資20億円により、生産能力をFY2025年比で約7倍まで引き上げる計画。

同事業のFY2030売上高目標は350億円(FY2025E比CAGR38.0%)。ROICはFY2025Eの10%からFY2030Fには30%まで引き上げ、e-Ribbon®生産への集中投資による高い資本効率を実現するとしている。川下戦略として、データセンター向けケーブル製品のグローバル生産・拡販や応用製品であるエアブローン・高密度ケーブルの拡販も組み合わせ、収益性向上を図る。

■半導体事業:25億円投資でコンタクトプローブ生産能力2.5倍へ

2025年3月にTOTOKUを買収し、半導体検査装置関連事業を一体化させたSWCCは、同事業に5年間で累計25億円の設備投資を計画する。前中計の4億円から大幅増となる。

コンタクトプローブについては、高機能製品の増産投資として13億円を投下し、生産能力をFY2025対比2.5倍に引き上げる。高周波ケーブル(RUOTA)についても2億円の増産投資を実施し、生産能力を2倍に拡大する予定。地産地消を見据えた中国での生産拡大も推進し、大手検査装置メーカーへの商流拡大を図る。

FY2030の売上高目標は180億円(FY2025E比CAGR17.6%)、ROICはFY2025Eの15%からFY2030Fには35%まで引き上げる計画。戦略III(半導体検査装置市場における事業領域拡大)の柱としてBD戦略(M&A)の実行も位置付けており、同事業のインオーガニック成長を見据える。

■キャッシュ・カウ事業:効率重視、65億円で安定収益確保

建設関連(エネルギー・通信)事業は「キャッシュ・カウ事業」と位置付け、5年間累計65億円の設備投資を計画する。市場の中長期的な横ばいを前提に、減価償却の範囲内に投資を抑制しつつ、DXを起点とした物流改革と棚卸資産圧縮(CCC72日→62日)でキャッシュ創出力の向上を目指す。

■インオーガニック投資:800億円、通信・半導体でM&Aを積極展開

オーガニック成長に加え、M&Aを活用したインオーガニック成長もSWCC 2030の重要な柱となる。FY2026〜2030の投資枠は最大800億円。重点領域は通信ケーブルのグローバル化と半導体検査装置市場での事業領域拡大であり、3年以内の実現を目指す。

2036年度の営業利益目標800億円以上(ROICは18%以上)は、オーガニック成長による400億円をベースに、インオーガニック成長の積み上げで達成するシナリオを描く。

研究開発費についても、FY2024の20億円(売上高比0.8%)からFY2030には60億円以上(同2%以上)へと3倍に拡充。「エネルギーとデジタルの未来を創るグローバル・ソリューションカンパニー」へと変革を加速させる。

SWCCグループ中期経営計画説明会資料