KIONグループ(KION GROUP AG):2026年2月26日
KIONグループは2月26日、2025年12月期決算を発表した。地政学・マクロ経済環境が不透明な中でも受注は大幅に増加し、堅調な業績を確保した。受注高は前年比13.4%増の117億500万ユーロ、フリーキャッシュフローも7億950万ユーロと高水準を維持。2026年は収益性の大幅改善を見込む。
■受注は全セグメントで増加
2025年のグループ受注高は117億500万ユーロ(前期103億2,100万ユーロ)と大幅増となった。
主力の産業車両・サービス部門(Industrial Trucks & Services:ITS)は4.9%増の81億4,700万ユーロ。カウンターバランストラックおよび倉庫用機器の新車販売が伸長し、サービス事業も堅調に拡大した。新車受注台数は8.6%増の26万6,000台となった。
一方、サプライチェーン・ソリューションズ部門(Supply Chain Solutions:SCS)は39.5%増の35億9,900万ユーロと大幅増。特に純粋EC事業者を含む複数業種からのプロジェクト案件が牽引し、サービス事業も力強く成長した。
■売上微減も、SCSは増収
売上高は112億9,700万ユーロ(同115億300万ユーロ)と1.8%減少。ITSはリードタイム正常化の影響で3.9%減の82億7,200万ユーロとなったが、サービス売上は着実に拡大した。SCSは4.4%増の30億7,100万ユーロと増収を確保。プロジェクト事業とサービス事業の双方が前年を上回った。
■調整後EBITは減益、SCSは大幅改善
グループの調整後EBITは7億8,860万ユーロ(同9億1,720万ユーロ)、調整後EBIT率は7.0%(同8.0%)となった。ITSは販売数量減少や価格・製品ミックスの影響で粗利率が低下し、調整後EBITは7億2,180万ユーロ(同9億1,750万ユーロ)、EBIT率は8.7%(同10.7%)へ低下。
一方、SCSは1億8,320万ユーロ(同1億1,290万ユーロ)と大幅増益。EBIT率も6.0%(同3.8%)へ改善した。高収益のサービス事業拡大とプロジェクト事業の粗利改善が寄与した。
純利益は効率化プログラムに伴う一時費用の影響で2億4,050万ユーロ(同3億6,920万ユーロ)へ減少したが、フリーキャッシュフローは7億950万ユーロ(同7億200万ユーロ)と堅調だった。
■効率化プログラム完了、年間1.5億ユーロの恒久効果
同社は2025年2月、長期競争力強化を目的に効率化プログラムを開始。EMEA地域におけるITS部門およびコーポレート機能の組織・プロセスを再編した。
想定費用の大半(1億6,880万ユーロ)は2025年に計上済みで、年間約1億5,000万ユーロの恒久的コスト削減効果を見込む。効果は2025年中に一部顕在化し、2026年にほぼ全面寄与する見通しだ。
■SCSを「IAS」に改称、デマティックを軸に統合強化
2026年1月より、SCS部門は「インテリジェント・オートメーション・ソリューションズ(Intelligent Automation Solutions:IAS)」へ改称する。サプライチェーン全体の統合ソリューション企業への変革を明確化する狙い。
デマティック(Dematic)ブランドは、サプライチェーン・オーケストレーション領域での位置付けをさらに強化する。産業車両、オートメーション、ロボティクス、ソフトウェア、AIを統合し、エンド・ツー・エンドの提案力を高める方針だ。
ロブ・スミスCEO(Rob Smith)は「両セグメントとも主要市場を上回る受注を確保した。『Playing to Win』戦略の進展により、長期的成功への基盤を固めた」と述べた。
■2026年は収益性大幅改善へ
2026年はセグメント間で成長ペースが異なる見通し。
ITSは市場前提の下で売上は微増を見込む。効率化効果が本格寄与し、競争圧力による価格下押しを吸収しながら、利益・収益性は大幅改善を予想する。
IASはプロジェクト受注の大幅改善とサービス事業の持続的拡大により、売上は大幅増を見込む。粗利率改善と高マージンのサービス構成比上昇により、調整後EBITはさらに増加する見通し。
グループ全体では売上は緩やかな増加、調整後EBITは大幅改善、ROCEも顕著に向上する見込み。一方、効率化費用のキャッシュアウトやM&A関連投資増により、フリーキャッシュフローは2025年比で減少を見込む。
■グローバル供給網を支える中核企業
KIONグループは産業車両、倉庫自動化、AI・ソフトウェアを組み合わせ、世界100カ国以上で物流・生産・配送拠点のマテリアルフローを支援する。2024年販売台数ベースでEMEA最大の産業車両メーカー、中国市場では海外メーカー首位(国内勢含め3位)、倉庫自動化では売上高ベースで世界首位。2025年末時点で稼働台数は200万台超、従業員は約4万2,000人。2025年売上高は約113億ユーロとなった。効率化完了と自動化事業強化を追い風に、キオンは「供給網ソリューション企業」としての進化を加速させる。
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