・物流2024年問題と人手不足に対応、Goods to Person方式で生産性向上を実現
IHIは2月26日、IHI物流産業システム(東京都江東区)が、鈴与(静岡市)の東扇島第一物流センター(神奈川県川崎市)に、3次元高速ピッキングシステム「Skypod®」を納入し、2026年1月15日より本格稼働を開始したと発表した。
Skypodは、フランスのExotec社が開発した自律走行型ロボット(AMR)を活用したGoods to Person(GTP)方式のピッキングシステムで、ロボットが3次元的に立体棚の間を高速移動しながら商品を作業者のもとへ搬送する。今回の導入規模は棚数9,262棚、ロボット53台、ピッキングステーション4台となっており、国内物流拠点向けとして本格的な規模の実装事例となる。
■導入の背景:「2024年問題」が物流センター運営にも波及
今回の導入決定の背景には、物流業界を取り巻く構造的な課題がある。ドライバーの時間外労働規制強化(いわゆる2024年問題)は、入出荷作業の時間帯集中や業務平準化の困難さとして物流センター側にも波及しており、限られた人員・時間での処理能力向上が急務となっていた。EC需要の継続的な拡大による取扱荷量増加も重なり、自動化による安定的なサービス品質の維持が不可欠な状況となっている。
鈴与は1801年創業の総合物流企業で、清水港を拠点に国内147拠点・海外23拠点を展開する業界大手。同社は今回のシステム導入を物流センター事業の持続可能な運営と競争力強化の一環と位置づけている。
■システムの特長:高速ピッキングと24時間遠隔監視で安定稼働
Skypodの最大の特長は、人手作業では達成困難な速度と精度でのピッキングを継続的に実現できる点にある。ロボットが棚を3次元的に縦横に移動して商品をピックアップし、作業者が固定ステーションで受け取るGTP方式を採用することで、作業者の移動距離をゼロにし、単位時間当たりの処理効率を大幅に向上させる。
運用面では、Exotec社による24時間365日の遠隔監視体制に加え、IHI物流産業システムが迅速な現地サポートを担う二重のサポート体制を構築。トラブル発生時の即応体制を整え、センター運営の安定稼働を確保している。
IHI物流産業システムは物流機器・FA機器のソリューション提供企業として、保管・仕分け・ピッキング・搬送の各ハード機器に加え、WMS/WESなどの情報システムまで一体提供する強みを持ち、今回の案件でも動線設計からシステム統合、導入後の保守まで一貫支援を行っている。
■今後の展開
鈴与では、今回の稼働を機に物流センター事業における機械化・自動化をさらに積極的に推進する方針を示している。IHI物流産業システムとしても、Skypodを中核製品の一つとして物流自動化需要の取り込みを加速させる考えだ。労働力不足と物量増加が同時進行する国内物流市場において、自律走行ロボットを活用したGTPシステムの採用事例は今後も増加が見込まれ、同システムへの注目度はさらに高まりそうだ。
(参考)Goods to Person(GTP)方式:商品や容器をロボットが自動搬送し、作業者が固定された場所でピッキングを行う方式。作業者の歩行時間を削減し、処理効率を大幅に向上させる。
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