IHI、CCUS向けCO₂圧縮で20MPaG昇圧に成功、超臨界CO₂の深部地層圧入に道

IHIは2月20日、脱炭素の推進に向け、商用CCUS(Carbon Capture, Utilization and Storage)で求められるプロセスガス圧縮機について、CO₂を流体とした最高吐出圧力20MPaGでの昇圧に成功したと発表した。超臨界CO₂状態での深部塩水帯水層などへの圧入を可能にするもので、CCUSバリューチェーンの中核機器として実用化に弾みをつける。

今回の実証試験は、同社と100%子会社のIHI回転機械エンジニアリングが実施したもの。CO₂を臨界点(31.1℃、7.38MPa)を超える超臨界状態で圧縮し、商用CCUSで想定される20MPaGまで昇圧できることを確認した。

CCUSでは、回収したCO₂を地下約800m以深の深部塩水帯水層などに圧入し、地層水への溶解や鉱物化により長期貯留する。圧入時には高圧かつ安定した供給が不可欠であり、圧縮機の高効率化と信頼性向上が課題となっている。

■多軸多段ギアード構造で高効率化

IHI回転機械エンジニアリングは、プロセスガス圧縮機としてターボ型(遠心式)とレシプロ型(往復動式)を展開している。今回の実証ではターボ型を使用した。

同ターボ圧縮機は、内蔵ギアにより複数のピニオン軸を駆動する「多軸多段」のギアード構造を採用。各段のインペラ(羽根車)の回転数を最適化できるため、省エネルギー化と省スペース化を両立できる点が特長だ。

一方、単一軸で全段のインペラを同一回転数で駆動する「一軸多段型」もあるが、ギアード構造は流体条件に応じた柔軟な設計が可能で、高効率運転に優位性を持つ。

インペラは、流体に昇圧のための運動エネルギーを付与する主要回転要素で、回転軸とともに圧縮性能を左右する中核部品となる。

■横浜工場で製造、空分・LNGで実績

プロセスガス圧縮機は、IHI回転機械エンジニアリングの横浜工場(神奈川県横浜市磯子区、IHI横浜事業所内)で製造している。

ターボ型では世界トップレベルの高速回転・高効率ターボ技術、レシプロ型では極低温ガス処理技術を強みとし、空気分離プラントやLNG(液化天然ガス)受入基地向けなどで豊富な納入実績を有する。空気分離プラントは、空気からN₂やO₂などを分離・精製し、鉄鋼、半導体、化学プラント向けに供給する設備。LNG受入基地は、輸入したLNGを貯蔵・再ガス化して供給する拠点である。

■脱炭素インフラのキーデバイスに

同社は今回の実証を通過点と位置づけ、CCUSを含む脱炭素バリューチェーンにおける中核技術の確立と信頼性向上を図る方針。脱炭素への貢献度が高いプロセスへの適用拡大を進め、環境負荷低減に資するキーデバイスとしての価値向上を目指す。

CCUSの社会実装が本格化する中、高圧CO₂圧縮技術はインフラ整備の鍵を握る。IHIグループは、回転機械技術を軸に脱炭素関連市場の取り込みを加速させる構えだ。

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