・2026年度は売上・利益とも回復基調へ
・MX戦略とアフターサービスが成長の柱
DMG森精機は2月10日、2025年12月期(2025年1-12月)連結決算を発表した。工作機械を中心とした連結受注額は前年比5.5%増の5,234億円と回復に転じ、特に第3四半期以降の伸びが顕著だった。売上収益は納期遅れの影響で同4.8%減の5,150億円に留まったものの、値引率低減と高付加価値事業の貢献により粗利益は改善。海外貿易保険金の受領により親会社帰属当期純利益(EAT)は同3.1倍の240億円となった。
2026年度は期初の機械本体受注残高2,400億円(前年末比+220億円)を背景に、売上収益5,350億円(同+3.9%)、EBITDA595億円(同+11.0%)、EBIT225億円(同+18.6%)と増収増益を見込む。年間配当は105円を維持する方針だ。
■受注単価79.6百万円へ上昇、MX戦略が本格浸透
2025年度の受注回復の主因は
、同社が推進するMX(マシニング・トランスフォーメーション)戦略の成果だ。工程集約機・自動化システムの提案強化、大型機需要の増加、値引率の低下により、工作機械の平均受注単価は前年の71.0百万円から79.6百万円へ大幅に上昇。第3四半期(7-9月)で前年同期比+16%、第4四半期(10-12月)で+24%と伸び率が加速し、受注台数も後半プラスに転じた。
MRO(メンテナンス・リペア・オーバーホール)、スペアパーツ、エンジニアリング事業の受注は年度トータルで1,259億円と前年並みだったが、第3四半期以降はプラス推移。連結受注に占める構成比は24%に達し、景気変動耐性の強い収益基盤となっている。グループ会社のマグネスケール(超精密計測装置)やSAKI(自動検査装置)も需要環境が好転した。
地域別では、EMEA(構成比55%)が前年比+5%と回復を主導。9月のEMOハノーバー展示会でSDMT(Software-Defined Machine Tool)を含む最先端ソリューションが高評価を受けた。米州は+15%、インドは+20%と高成長。日本は横ばい、中国は緩やかな回復、アジア他地域は減少した。
産業別では、航空・宇宙・防衛、メディカル、電力・エネルギー関連が堅調に推移。第4四半期からはデータプロセス(半導体製造装置・通信機器)向けの需要が回復し、顧客層の多様化が進んでいる。
■納期乱れを第4四半期で解消 保険金効果で最終利益急増
売上収益の減少は、米国相互関税交渉の長期化、欧州製新型CNC切り替え遅れ、地政学リスクによる輸出許可審査の長期化などがグローバルで納期を乱した影響が大きい。第4四半期に遅れを取り戻し、年度計画を若干上回る着地となった。
EBITDAは536億円(同28.8%減)、EBITは190億円(同56.6%減)と大幅減益となったが、値引率低減とMROの高収益貢献で粗利益は70億円増加、販売管理費の効率化も20億円寄与した。一方、売上減や人材投資・償却費増などでマイナス要因が337億円発生した。継続事業からのEATは70億円にとどまったが、海外製造子会社関連の貿易保険金約172億円(102百万ユーロ)を受領したことでEATは240億円に急増。営業フリーキャッシュフローは148億円の黒字と大幅改善した。
■2026年度は受注残高と安定事業で成長加速
2026年度の受注見通しは5,400億円(同+3.2%)。EMEA・米州・インドの好調継続に加え、航空宇宙防衛、電力エネルギー、データプロセス・半導体関連の需要拡大を期待する。1月下旬~2月初旬のドイツPfronten Open HouseでもMXの実機デモが好評で引合い増加につながっている。
売上収益は受注残の消化、MRO・スペアパーツ・エンジニアリングの安定成長、グループ会社の回復をてこに5,350億円へ増収。EBITDA・EBITとも増益を確保する計画だが、人材投資・減価償却費増などで約80億円の費用増を見込む。EATは保険金効果の剥落により105億円となる見込み。年間配当は105円(上期50円、期末55円)を継続する。
同社は2026年度以降の重点施策として、
① 成長分野(航空宇宙・データプロセス・エネルギー)への深耕とベーシックマシンの競争力強化
② 生成AI・TULIPプラットフォーム活用による生産性向上とMRO効率化
③ 運転資本最適化によるキャッシュ創出力強化
を掲げ、持続的な成長と財務体質の改善を目指す。
業界全体では2025年の工作機械受注が前年比8%増と回復基調にある中、DMG森精機はMXによる高付加価値シフトとアフターサービス比率の拡大で、景気循環耐性を強化。2026年は豊富な受注残を活かし、本格的な成長軌道への回帰が期待される。
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