IHI、25年4〜12月売上収益は1.8%減の1兆1,293億円、過去最高の受注高を記録

・減収も営業利益はほぼ横ばい、最終利益は10%超の増益

IHIが2月10日に発表した2026年3月期第3四半期(4〜12月期)の連結決算は、売上収益が前年同期比1.8%減の1兆1,293億円、営業利益が同0.9%減の1,025億円となった。税引前四半期利益は同3.8%増の1,189億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同10.7%増の850億円と二桁の増益を確保した。

基本的1株当たり四半期利益は80円21銭で、前年同期の72円48銭から10.7%増加した。なお、同社は2025年10月1日付で普通株式1株につき7株の割合で株式分割を実施しており、1株当たり利益は株式分割後の株式数で算出している。

売上収益の減少は、中核事業における事業譲渡に伴う減収や前年同期の大型工事進捗の反動が主な要因。一方で、防衛事業の拡大や車両過給機での需要拡大・販価改善が下支えとなった。

営業利益については、民間向け航空エンジンのアフターマーケット事業が堅調に推移し、運搬機械事業の譲渡益計上や車両過給機の構造改革費用の前期反動があった。しかし、民間向け航空エンジンでの整備費用の増加や研究開発費等販管費の増加、資源・エネルギー・環境事業での一部海外事業の採算悪化等の影響により、9億円の減益となった。

税引前四半期利益が増益となったのは、持分法による投資損益が前年同期の56億円から118億円へと62億円増加したことが主因。これにより最終利益は前年同期比で82億円増加し、850億円に達した。

受注高は前年同期比12.4%増の1兆3,648億円と大幅増加した。原子力等エネルギー分野での旺盛な需要を背景に、第3四半期では過去最高の受注高を記録した。

■セグメント別業績

資源・エネルギー・環境事業は、売上収益が2,570億円で同15.4%減、営業利益は26億円で同76.3%の大幅減益となった。海外事業の収益性が大幅に悪化し、海外子会社でリストラ等の構造改革を実施中。国内のカーボンソリューション、原子力、原動機事業は堅調に推移したものの、前年同期大型案件の反動により減収となった。

社会基盤事業は、売上収益970億円で同1.4%増、営業損益は7億円の損失となった。交通システム事業の事業譲渡に伴う損失を計上したものの、橋梁・水門事業で戦略的な選別受注方針のもと収益性の高い案件に絞り込んだことで、事業譲渡影響を除くベースでは41億円の改善となった。

産業システム・汎用機械事業は、売上収益3,299億円で同5.8%減となったが、営業利益は287億円で前年同期の29億円から大幅な増益を達成した。車両過給機事業の販価改善や固定費削減が進み収益性が改善。パーキング事業のライフサイクルビジネス拡大も寄与した。

航空・宇宙・防衛事業は、売上収益4,238億円で前年同期比12.3%増となった。防衛向け航空エンジン・装備品がエンジンと補用部品の好調な販売により大幅増収。営業利益は706億円で同25.3%減となったが、これは整備費用が前年発生遅れの反動に加え、プログラム全体の整備エンジン出荷促進により増加したことが主因。アフターマーケット事業のスペアパーツ販売は280億円増加し、堅調に推移している。

■事業ポートフォリオ改革を加速

同社は当第3四半期累計期間に事業ポートフォリオ改革を推進し、運搬機械事業、IHIアグリテックの芝草・芝生管理機器事業、IHI汎用ボイラの全株式、IHI建材工業、新潟トランシスの全株式の譲渡を完了した。また、2025年8月には明星電気の全株式を能美防災に譲渡する契約を締結し、2026年2月2日に譲渡を完了。さらに、橋梁・水門事業を担うIHIインフラシステムとIHIインフラ建設は2025年11月1日に統合し、国内トップクラスの地位確立を目指している。

財政状態については、総資産が前期末比2,139億円増の2兆4,543億円となった。棚卸資産が1,098億円、営業債権及びその他の債権が668億円増加した一方、現金及び現金同等物は317億円減少した。有利子負債残高はリース負債を含めて6,383億円と前期末比1,236億円増加したが、資金流動性については十分な水準を確保している。親会社所有者帰属持分比率は前期末の21.5%から23.0%に改善した。

■ 通期業績予想は受注高を上方修正

通期の連結業績予想については、原子力等エネルギー分野での力強い需要が続いていることを踏まえ、受注高を900億円上方修正し1兆9,400億円とした。売上収益1兆6,400億円(前期比0.8%増)、営業利益1,600億円(同11.5%増、営業利益率9.8%)、税引前利益1,450億円(同4.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,250億円(同10.9%増)は前回公表値から変更なし。2025年度は、受注高・売上収益・営業利益・当期利益のいずれも過去最高を達成する見通しとなっている。

基本的1株当たり当期利益は117円49銭を見込んでいる。配当については、中間配当を1株当たり70円(株式分割前)とし、期末配当は株式分割後の基準で10円を予定している。株式分割の影響を反映しない場合の期末配当は70円で、通期配当は140円となる。

同社は今後も、成長事業である航空エンジン・ロケット分野と育成事業であるクリーンエネルギー分野への戦略的な経営資源のシフトを進め、持続的な高成長企業への飛躍を目指す方針。第4四半期にかけては構造改革を加速させながら、安定的・持続的に成長できるポートフォリオの構築を推進していく。

IHIの2026年3月期第3四半期決算短信

第3四半期決算説明資料