ヤマトプロテック(東京都港区)は、新消火薬剤「ケースモーク(K/SMOKE)」の需要拡大を受け、国内の生産・供給体制を抜本的に強化する。新工場建設と既存拠点の再編を柱とする総額約75億円の設備投資を実施し、2027年夏以降の順次稼働を目指す。
同社は2月3日、火災リスクの多様化や次世代消火薬剤の本格普及を背景に、国内で初となる「ケースモーク」の量産体制を構築すると発表した。新工場の新設に加え、自動化設備の導入や出荷・物流機能の刷新を進め、生産・供給基盤全体をアップデートする。
■新工場建設と拠点再編で供給力を強化
ヤマトプロテックは現在、大阪、東京、奈良の国内3拠点と、中国(大連)、ベトナム(ドンナイ)の海外工場を含む計5拠点で生産を行っている。しかし、事業拡大に伴い既存工場ではスペース不足が顕在化し、自動化や効率的な生産ラインの導入が難しい状況にあった。
今回の投資では、茨城県鉾田市に新設する「百里・鉾田工場」を中核拠点とし、新薬剤の量産と国内供給力の向上を図る。また、製造品目や出荷機能を拠点ごとに最適化することで、グループ全体の生産効率と物流能力の底上げを狙う。
■廃校活用で地域貢献も
百里・鉾田工場では、廃校となった小学校施設をリノベーションして活用する。校舎を改修し、体育館を工場として転用することで、地域資源の有効活用を進める。雇用創出に加え、災害時の避難場所としての活用や、自治体・消防機関との連携による地域防災への貢献も視野に入れる。
■自動化と新製品量産が狙い
同社は今回のプロジェクトを通じて、新消火薬剤の安定供給体制を確立するとともに、生産・出荷工程の自動化を推進する。火災対策ニーズが高度化する中、国内生産能力の強化によって市場対応力を高め、競争力の向上につなげる考えだ。
<プロジェクト概要>
プロジェクト名:国内生産・供給基盤強化プロジェクト
投資総額:約75億円
主目的:新消火薬剤「ケースモーク(K/SMOKE)」の量産体制構築、国内供給力・物流機能の強化
<百里・鉾田工場>
所在地:茨城県鉾田市青柳2875
投資金額:約50億円
着工:2026年2月
稼働:2027年7月
製造品目:K/SMOKE薬剤、ABC粉末薬剤
生産能力:K/SMOKE 年400トン、ABC粉末 年7,000トン
<新東京工場(仮称)>
所在地:茨城県稲敷郡河内町長竿1951
投資金額:約20億円
着工:2026年1月
稼働:2027年9月
製造品目:スプリンクラーヘッド、制御盤
<奈良工場>
所在地:奈良県磯城郡川西町梅戸103
投資金額:約5億円
着工:2026年1月
稼働:2026年9月
製造内容:新薬剤製造、高圧ガス容器耐圧・再耐圧事業
生産能力:新薬剤 年960トン