JCB:2026年2月3日
建設機械メーカーのJCBは、米国ラスベガスで開催される建設機械展示会「コンエクスポ(Conexpo)」において、生産性と効率性の向上を狙った最新のパワートレイン技術を披露する。JCBのパワートレイン事業を担うJCBパワートレイン(JCB Powertrain)は、OEM(相手先ブランド製造)向けに開発した新型トランスミッションなど、複数の新技術を出展する。
目玉となるのは、「デュアルテックVT(DualTech VT)」トランスミッションの新派生モデルだ。これは2016年にJCB自社機向けとして発表され、高い評価を得てきた受賞技術をベースとするもので、第三者向けに販売されるのは今回が初めてとなる。3月に開催されるラスベガスショーで正式に公開する。
JCBパワートレインのグローバル・セールス&アプリケーション・マネージャーであるジョン・マクナルティ氏(Jon McNulty)は、「低速作業と高速走行の両方が求められる用途において、デュアルテックVTは最適な選択肢だ。まさに“ベスト・オブ・ボース・ワールズ(両立)”の技術である」と語る。
新型デュアルテックVTは、JCBが最近投入したホイールローダー「TM280」を想定して設計されたが、コンパクトな構造を採用していることから、さまざまなOEM用途への搭載も可能とする。低速域では油圧式による高い操作性を確保しつつ、高速域では機械直結駆動へとシームレスに切り替わることで、高効率な走行性能を実現する。
会場ではこのほか、新型シンクロシャトル・トランスミッション「SS670(SS670 Synchro Shuttle)」も初公開する。SS670は、JCBトランスミッション(JCB Transmissions)が英国北ウェールズのレクサム(Wrexham)工場で48年にわたり培ってきたアクスル・トランスミッション製造の知見を生かした最新世代モデルだ。
マクナルティ氏は「SS670は、最新のシンクロシャトル部品技術と製造技術を活用した低コスト・量産向けの新設計トランスミッションだ。従来のSS600、SS700、SS750と比べ、性能と効率の両面で大きな向上を実現している」と説明する。これにより、JCBのパワーシフト式「PS900(PS900)」や油圧式ドロップボックス「TG172(TG172)」と合わせ、幅広いOEM用途に対応可能なパワートレインラインアップが完成するとしている。
■デュアルテックVTの特長
デュアルテックVTは、油圧式とパワーシフト式の利点を一体化した2速トランスミッション。重量級農業用テレハンドラーで実績のあるJCB独自の可変トランスミッション技術を基に、一般的な直列レイアウトへ再設計した。
時速25kmまでは油圧駆動により精密な低速制御を可能とし、積み込みやハンドリング作業に適する。25km超では機械直結駆動へ移行し、最高40kmまで効率的な高速走行を実現する。建設支援車両、特殊農業機械、自治体向け車両など、低速作業と長距離移動の両立が求められる用途を想定する。SAHR(スプリング作動・油圧解除)式ブレーキやケーブル式パーキングブレーキにも対応し、最適化されたドライブライン構成を支える。
■新型SS670トランスミッション
SS670は、SS600、SS700、SS750の後継機として位置付けられる。W300トルクコンバーターと最新のシンクロナイザー技術を採用し、変速品質を向上。攪拌損失を抑える設計により、効率改善も図った。JCBのサイトダンパーやバックホーローダー、不整地フォークリフト向けに開発されたが、幅広いオフハイウェイ用途での展開を見込む。
■水素エンジンも展示
JCBパワートレインブースでは、水素エンジンも披露する。JCBは、建設機械メーカーとして初めて、完全承認済みの水素燃焼エンジンを開発した企業とされる。約150人の技術者が4年近く、総額1億ポンドを投じて開発を進めてきた。すでに150基以上の評価用エンジンが製造され、バックホーローダーやテレスコピックハンドラー「ロードオール(Loadall)」、発電機セットに搭載されている。実環境での事前試験も最終段階に入り、順調に進捗しているという。
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