ABB、産業オートメーション刷新策「Automation Extended」を発表

・DCSの連続性を維持しつつ、AI・IoT活用による段階的高度化を可能に

ABB:2026年2月2日

ABBは2月2日、分散制御システム(DCS)の戦略的進化策として、新たなプログラム「オートメーション・エクステンデッド(Automation Extended)」を発表した。既存の制御基盤と投資を保護しながら、操業を止めることなく次世代の自動化技術を段階的に導入できる点が特徴である。

同プログラムは、ABBが長年にわたり築いてきた世界最大規模のDCS導入実績と、プロセスオートメーション分野での知見を基盤とするもの。柔軟性、拡張性、効率性を確保しつつ、将来の自動化機能を段階的に実装することで、産業オペレーションの次の時代に対応する。

■市場変動や人材課題に対応、操業継続を前提に高度化

産業界では、市場環境の変動、サイバーセキュリティ脅威、規制強化、人材構成の変化といった複合的な課題に直面している。オートメーション・エクステンデッドは、こうした状況下でも操業の中断を伴わずにイノベーションを実現することを狙いとし、高度解析やIoT統合の活用を可能にするとともに、スキルレベルの異なる作業者にも対応した運用の簡素化を図る。

■鉱業分野での自律化・脱炭素化を後押し

特に鉱業分野では、安全性、生産性、持続可能性の向上を通じたレジリエンス強化と成長を支援する。AI(人工知能)技術を活用し、自律化への道筋を示すとともに、技能伝承や知識の補完・強化といった人材課題にも対応する。遠隔操業やエネルギー転換を支える一方、オペレーターには没入型の操作体験と文脈化された情報を提供し、設備の生産性と信頼性を最大化する。

ABBが実施した調査「マイニングズ・モーメント(Mining’s Moment)」によれば、鉱業リーダーの77%が、電化・自動化・デジタル化の統合を持続的転換の鍵と捉えているという。オートメーション・エクステンデッドは、オープンなエコシステムを採用することで、鉱山から港湾までシステムとデータを横断的に接続し、相互運用性を確保する。

■既存ABBシステムを継続活用、低リスクで近代化

ユーザーは、「ABBアビリティ・システム800xA(ABB Ability™ System 800xA®)」、「ABBアビリティ・シンフォニー・プラス(ABB Ability™ Symphony® Plus)」、「ABBフリーランス(ABB Freelance)」といった既存のABB制御システムを引き続き活用しながら、新技術を段階的に導入できる。これにより、操業を止めることなく、低リスクで計画的な近代化が可能となる。

ABBのオートメーション事業本部長であるピーター・テルヴィーシュ(Peter Terwiesch)氏は
「当社が支援する産業の多くは、社会に不可欠な資源を供給する大規模で複雑なインフラを運用している。顧客が求めているのは、操業を止めない近代化であり、オートメーション・エクステンデッドは、信頼ある既存システムに将来対応型の機能を安全かつ相互運用性を確保した形で統合する」
とコメントしている。

■制御とデジタルを分離した新アーキテクチャ

同プログラムは、相互運用性、拡張性、統合性を重視したオープンかつモジュール型の環境で構成される。「関心事の分離(Separation of Concerns)」の考え方に基づき、以下の2つの環境を安全に連携させる。

・制御環境:重要プロセスに対して、堅牢かつ決定論的な制御を保証するソフトウエア定義型ドメイン
・デジタル環境:制御層と安全に接続され、AIや機械学習を活用した高度アプリケーション、エッジインテリジェンス、リアルタイム解析を実現

さらに、これら多様な環境を統合的に管理・最適化するため、ライフサイクル全体を対象とした一元的なオートメーションサービスを提供する。

■OPC UAとクラウドネイティブで拡張性を確保

OPC UA(オープン・プラットフォーム・コミュニケーションズ・ユニファイド・アーキテクチャ)を基盤とし、コンテナ化やオーケストレーションを活用したクラウドネイティブ・アーキテクチャを採用。プロセス異常の予兆検知、設備状態監視による保全最適化、ハードウエアを問わないモジュール型エンジニアリングなど、幅広い高度化を可能にする。

オートメーション・エクステンデッドは、今後の「ABBアビリティ・システム800xA」「ABBアビリティ・シンフォニー・プラス」「ABBフリーランス」の次期リリースを通じて提供される予定である。

ニュースリリース