コマツ、25年4~12月売上は1.4%減の2兆9,155億円、通期見通しは据え置き

・関税・石炭市況の影響を注視

コマツが1月30日に発表した2026年3月期の第3四半期(4~12月)連結業績によると、売上高は2兆9,155億円(前年同期比1.4%減少)となった。建設機械・車両部門では、販売価格の改善に努めたものの、前年同期に比べて円高となった影響や販売量の減少により、売上高は前年同期を下回った。産業機械他部門では、主に自動車産業向けの大型プレスの販売増加と半導体産業向けエキシマレーザー関連事業でのメンテナンス売上げ増加などにより、売上高は前年同期を上回った。

コマツ2026年3月期第3四半期データ

利益については、建設機械・車両部門では、販売価格の改善に努めたものの、コスト増や販売量減少、円高の影響などにより減益となった。リテールファイナンス部門および産業機械他部門では増益となり、営業利益は4,190億円(前年同期比10.1%減少)となった。売上高営業利益率は前年同期を1.4ポイント下回る14.4%、税引前四半期純利益は3,949億2026年1月30日 2,698億円(前年同期比13.0%減少)となった。堀越健CFOは決算説明会で「販売価格改善のプラス影響があったものの、円高、物量減とコスト増のマイナス影響が上回った」と減益要因を説明した。

コマツは、2025年4月より2028年3月期をゴールとする3カ年の中期経営計画「Driving value with ambition 価値創造への挑戦」をスタートした。成長戦略の3本柱として、①イノベーションによる価値共創、②成長性と収益性の追求、③経営基盤の革新を掲げ、ありたい姿として再定義した「安全で生産性の高いクリーンな現場を実現するソリューションパートナー」を目指し、モノ価値およびコト価値の一層の進化に向けて活動を進めている。

■部門別の概況
[建設機械・車両]
建設機械・車両部門の売上高は2兆6,880億円(前年同期比2.2%減少)、セグメント利益は3,626億円(前年同期比14.7%減少)となった。
 
当期において、建設現場向け施工管理ソリューションのスマートコンストラクション®を着実に推進し、日米欧豪でのICT建機の販売割合を示す「ICT建機化率」は29.5%となった。また、鉱山機械では、無人ダンプトラック運行システム(AHS)の累計導入台数が2025年12月末時点で982台に達した。
 
2025年11月、マレーシア、シンガポール、ミャンマーおよびブルネイにおける建設・鉱山機械の販売代理店事業について、タイおよびカンボジアで既に協業実績のあるバンコク・モーター・ワークス社と共同経営を行うため合弁会社とした。これにより、各国での一貫したマーケティング活動やプロダクトサポートの強化を図るとともに、東南アジア全体での販売拡大と収益向上を目指す。
 
また、欧米で高い評価を得ている新型エンジンを搭載した中型ホイールローダーのフルモデルチェンジ機を「WA470-11/WA480-11」として2025年12月より日本市場で販売を開始した。燃費・作業量・操作性を一段と向上させることで、さらなる生産性・安全性の向上を実現している。

■地域別の概況
<米州>  北米では、一般建機はエネルギーやインフラ向けなどで需要は堅調に推移し販売が増加したものの、前年同期に大口商談があった鉱山機械の販売が減少したことや円高の影響などにより、売上高は前年同期比で4.2%減少した。中南米では、円高の影響はあったものの、銅需要が堅調に推移したことによりチリなどで鉱山機械の販売が増加したことから、売上高は前年同期比で9.0%増加した。

<欧州・アフリカ・中近東>  欧州では、景況感の改善に加え、ドイツやイギリスのインフラ投資計画などを背景に需要が堅調に推移し、一般建機の販売が増加したことや円安の影響により、売上高は前年同期比で11.2%増加した。アフリカでは、鉱山機械の販売が増加したことにより、売上高は前年同期比で14.1%増加した。中近東では、原油価格下落によりサウジアラビアなどで需要が低調なものの、UAEでの大型インフラプロジェクトに関連する需要は堅調に推移し、売上高は前年同期比で15.4%増加した。

<オセアニア・アジア・CIS>  オセアニアでは、鉱山機械の販売が増加したものの、円高の影響により、売上高は前年同期比で1.8%減少した。アジアでは、主にインドネシアにおいて石炭価格が低調に推移していることやインフラ予算の削減などの影響により、売上高は前年同期比で29.3%減少した。中国では、不動産市況の低迷に加え、大型機の需要が減少したことから、売上高は前年同期比で8.6%減少した。CISでは、中央アジアにおいて鉱山機械の販売が減少したことにより、売上高は前年同期比で8.5%減少した。

<日本>  日本では、人件費・資材価格高騰や労働力不足などを背景に一般ユーザー向けおよびレンタル向け需要が引き続き低迷していることから、売上高は前年同期比で6.7%減少した。

・地域別明暗─インドネシア急減、欧米は堅調

地域別では明暗が分かれた。中南米、欧州、アフリカで増収となった一方、アジア、北米、日本では減収。特にインドネシアでは石炭価格の下落により、鉱山機械と一般建機の両方で需要が低迷した。菱沼聖史経営管理部長は「インドネシアでは石炭価格の回復が見通せず、公共事業予算の削減も継続している。代理店在庫の調整を進めているが、需要回復の見通しは立っていない」と厳しい現状を説明した。

一方、北米ではインフラ、エネルギー向け需要が堅調に推移。第3四半期の主要7建機需要は前年同期比1%増となった。欧州も同7%増と好調で、GDP成長率の上方修正など景況感の改善が見られるという。国内市場は同14%減と低調。レンタル需要の低迷、人手不足、資材価格高騰が継続し、「需要回復の兆しは見られない」(菱沼部長)状況だ。

鉱山機械は2割減も、他地域は高水準維持

鉱山機械の第3四半期需要台数は前年同期比21%減と大きく落ち込んだ。インドネシアでの石炭価格下落が主因だが、売上高は同4.9%増の4,751億円を確保。為替影響を除くと12.0%増となり、中南米やアフリカでの増収が下支えした。菱沼部長は「インドネシアの石炭価格は回復していないが、その他の地域・鉱物向けの本体需要は年度末にかけて総じて高いレベルで推移するとみている」と述べた。

部品売上高は前年同期比6.1%増の2,655億円。サービスと合わせたアフターマーケット売上比率は54%を維持し、収益の安定化に貢献している。

[リテールファイナンス]
リテールファイナンス部門では、債権残高の拡大にともなう金利収入の増加により、売上高は931億円(前年同期比1.1%増加)、セグメント利益は主に資金調達コストの低下により、260億円(前年同期比19.1%増加)となった。

[産業機械他]
産業機械他部門では、主に自動車産業向けの大型プレスの販売増加や半導体産業向けエキシマレーザー関連事業でのメンテナンス売上げ増加などにより、売上高は1,627億円(前年同期比10.9%増加)、セグメント利益は273億円(前年同期比81.1%増加)となった。

■次期の見通し

2026年3月期業績予想は、売上高3兆8,880億円(前期比5.3%減)、営業利益5,000億円(同23.9%減)、税引前当期純利益4,640億円(同23.3%減)、当社株主に帰属する当期純利益3,200億円(同27.2%減)と前回予想(10月)を据え置いた。

主要7建機の需要見通しも前年比0〜マイナス5%で据え置き。地域別では北米が0〜マイナス5%、欧州が前年並み、東南アジアは10月時点のマイナス5〜10%から0〜マイナス5%に上方修正した。日本はマイナス10〜15%、鉱山機械はマイナス10〜15%の見通しを維持している。堀越CFOは米国関税について「上期に引き続き第3四半期も需要を下押しする動きは見られなかったが、関税によるコストアップは徐々に進むことから、需要に与える影響を見極めていく」と慎重な姿勢を示した。


ニュースリリース

コマツの2026年3月期第3四半期決算短信

第3四半期決算説明資料