・丸紅参画、協調融資総額約3億米ドル、日本企業の脱炭素海外展開を後押し
国際協力銀行(JBIC)は1月27日、サウジアラビアで進む大規模陸上風力発電事業を対象に、プロジェクトファイナンスによる融資を実行すると発表した。丸紅とサウジアラビア企業が出資する事業会社向けに、JBIC分として約1億5,200万米ドルを限度とする融資契約を締結した。
本件は、丸紅とサウジアラビア法人Abdul Aziz Al Ajlan Sons Co. for Commercial and Real Estate Investment – Ajlan & Brosが出資する現地法人リヤ・アル・サヒル・カンパニー(RIYAH AL SAHIL COMPANY)を借入人とするもの。JBICの融資は、三井住友信託銀行、スタンダードチャータード銀行、バンク・オブ・チャイナとの協調融資で実施され、協調融資総額は約3億500万米ドルとなる。
■発電容量700MW、25年の長期売電事業
対象となるヤンブ陸上風力発電事業は、サウジアラビア西部マディーナ州ヤンブ地区において、発電容量700MWの陸上風力発電所を建設・所有・運営するIPP(独立系発電事業)プロジェクト。完工後は25年にわたり、サウジアラビア電力調達会社(Saudi Power Procurement Company)に売電する。
JBICにとって本件は、ラービグ太陽光発電事業、アルガット陸上風力発電事業、ワードアルシャマル陸上風力発電事業に続く、同国の再生可能エネルギー分野におけるIPP事業向け融資となる。
■日本のエネルギー・脱炭素政策と連動
本融資は、日本政府が掲げる「インフラシステム海外展開戦略2030」や「第7次エネルギー基本計画」に沿った取り組み。日本の技術や事業ノウハウを活用し、海外での脱炭素化とインフラ整備を進めると同時に、日本企業の国際競争力強化を図る狙いがある。
一方、サウジアラビア政府も国家再生可能エネルギープログラム(NREP)の下、2030年までに総発電容量の約50%を再生可能エネルギーと蓄電設備で賄う目標を掲げており、本プロジェクトは同国のエネルギー転換政策に合致する。
■日サウジ関係深化と経済安全保障に寄与
サウジアラビアは日本にとって重要な原油輸入先であり、近年はエネルギー分野を軸に両国の戦略的連携が進んでいる。本件支援は、再生可能エネルギー分野での協力を通じた重層的な経済関係の強化に加え、エネルギー・経済安全保障の確保にもつながるとみられる。
JBICは今後も、公的金融機関としてプロジェクトファイナンスなどの金融手法を活用し、日本企業による脱炭素分野の海外インフラ事業展開を支援していく方針だ。
<プロジェクト概要>
事業名:ヤンブ陸上風力発電事業
所在地:サウジアラビア・マディーナ州ヤンブ地区
事業内容:陸上風力発電所の建設・所有・運営(IPP)
発電容量:700MW
売電先:サウジアラビア電力調達会社
売電期間:25年
融資形態:プロジェクトファイナンス
融資総額:約3億500万米ドル(JBIC分:約1億5,200万米ドル)
事業会社:RIYAH AL SAHIL COMPANY
出資者:丸紅、Ajlan & Bros ほか