中国の油圧空気圧シール業界、「十五五」で飛躍へ

・年平均5%成長を達成、貿易黒字化も実現

・次期5カ年で「ハイエンド・インテリジェント・グリーン」化を加速

中国油圧空気圧シール工業協会(CHPSA ):20261月14日(中国機械工業聯合会:2026年1月14日発表より)

中国機械工業聯合会はこのほど、油圧空気圧シール業界の「第14次5カ年計画(十四五、2021-2025年)」の総括と「第15次5カ年計画(十五五、2026-2030年)」の方向性を発表した。「十四五」期間中、同業界は工業総生産額で年平均約5%の複合成長を達成し、貿易収支も2021年の赤字から2024年には黒字へと転換するなど、着実な発展を遂げた。

■「十四五」で技術的自立へ大きく前進

同業界は「十四五」期間中、自主イノベーションシステムの構築に注力。政府、産業界、学界、研究機関、応用部門が連携する「政産学研用自主創新体系」を形成し、国・省・市レベルで80項目以上の重点プロジェクトに参加した。

技術面では、高圧油圧機器・システム、高効率デジタル・インテリジェント油圧機器、原子力主ポンプ用メカニカルシール、高パラメータドライガスシールなど、十数項目の主要技術で画期的な成果を達成。「長征5号」ロケット用ヘリウムシステム、「華龍1号」原子力発電所用高温ガス冷却炉向けC型シールリング、「国和一号」原子力発電所ポンプ用メカニカルシールなど、国家重点プロジェクトへの製品供給実績を積み重ねた。

市場面では、中国本土市場での空気圧製品販売額が世界1位、油圧製品も世界2位を達成。多くの製品が輸入代替を実現し、一部は国際トップレベルに到達している。

■デジタル化・インテリジェント化が加速

「十四五」期間中、業界企業はデジタルワークショップやデジタル工場建設への投資を大幅に拡大。クラウドコンピューティング、ビッグデータ、AI(人工知能)などの新世代情報技術を活用し、製造効率と製品品質の向上を実現した。

共通技術の研究開発も大きく進展。インテリジェント・オートメーション技術、新材料研究開発・応用技術、設計・製造プロセス革新技術、省エネ・環境保全技術、安全性・信頼性向上技術など、10項目以上の共通技術が大幅に向上し、製品の性能と品質がより安定した。

■課題は先端技術の自主開発

一方で、ハイエンドサーボバルブ、高周波応答比例バルブ、航空宇宙級シール部品などの最先端技術は依然として外国企業に独占されている。国内企業の研究開発投資は売上高の3%未満にとどまり、国際主要企業の5~10%を大きく下回る状況が続いている。

また、建設機械や冶金などの伝統的分野の需要が飽和状態にある一方、新エネルギー、半導体、深海装置などの新興分野では「高精度、小型化、長寿命」といった新たな要件が求められている。

■新興市場が新たな成長エンジンに

こうした課題に対し、業界は大きな機会も迎えている。大型風力タービンの油圧ピッチシステム、太陽光発電清掃ロボット用空気圧アクチュエータの需要が急増。新エネルギー車分野では、電気油圧ステアリングシステム(EHPS)と水素燃料電池シール部品の市場規模が大幅に拡大している。

さらに、AIと油圧空気圧シール技術の融合により、適応型流量制御システムやシール摩耗状態のリアルタイム監視システムなど、次世代製品の開発も進んでいる。積層造形(AM)技術はマイクロ油圧機器の加工、グラフェン改質シール材、多結晶ダイヤモンドコーティングなどのボトルネック解消に貢献している。

■ 「十五五」で「価値創造型」産業へ転換

「十五五」期間の基本方針は「ハイエンド、インテリジェント、グリーン」化。業界を「規模成長型」から「価値創造型」へ、「ロー・ミドルエンド」から「高品質・ハイエンド」へ転換させる。

具体的には、以下の7つの重点施策を推進する。

①イノベーション能力強化 研究開発投資を増加し、産学研究協力を促進。主要技術の自主的制御を実現する。

②製品の高度化:ハイエンド化では科学技術革新により技術・製品を高度化。インテリジェント化ではインテリジェントセンシング、遠隔診断、故障予測を実現。グリーン化では環境配慮型、低炭素、高効率製品を開発し、「グリーンファクトリー」認証を推進する。

③産業チェーン強靭性向上:コア部品の自主生産能力を強化し、輸入材料への依存度を低減。市場志向のサプライチェーン管理システムを確立する。

④ブランド構築:完備した品質管理システムを確立し、設計から生産まで全工程を厳格に管理。製品の高い信頼性と耐久性を確保する。

⑤国際協力推進:技術協力と資源統合を通じて国際協力を強化し、世界市場での競争力を向上させる。「一帯一路」沿線諸国でのインフラ需要拡大を商機と捉える。

⑥人材育成:学校企業協力、職業技術訓練を強化し、高度技能労働者を育成。業界内でスキルコンテストを積極的に開催する。

⑦国際的発言力強化:中国規格と国際規格の相互承認を促進し、国際規格策定への参加を拡大する。

中国機械工業聯合会は「2030年までに、主要技術のブレークスルーと自主制御可能性を実現し、応用分野を拡大する。産業チェーンの連携と生態系構築を進め、国際競争力を大幅に向上させる」と展望している。

油圧空気圧シール業界は、中国の設備製造業を支える基盤産業として、「十五五」期間に新たな発展段階へと踏み出す。

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